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甲8号証

甲8号証 

本件訴訟は2007年3月に第一審判決が言い渡され、既に確定しています。このページは、ネット上の表現を巡る紛争の記録として、そのままの形で残しているものです。

 「第7回内分泌攪乱物質問題に関する国際シンポジウム」の、松井氏の発表スライド。
現在は、http://www.env.go.jp/chemi/end/2004/sympo7_mats/s6-4_Matsui_01.pdfhttp://www.env.go.jp/chemi/end/2004/sympo7_mats/s6-4_Matsui_02.pdfhttp://www.env.go.jp/chemi/end/2004/sympo7_mats/s6-4_Matsui_03.pdfで公開されているものをpngファイルに変換した。書証として提出されたものには、それぞれのスライドに、説明の概要を添付したものになっている。


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第2図の口頭説明の要点
・この3年間で急速に進歩した、遺伝子マイクロアレーの技術は、ヒトの遺伝子=訳28,500今日が活性化、抑制化、中立という理解で、評価できる事になったことを紹介した。この図中の赤い点それぞれば、1種類の遺伝子が活性化していることを示している。黄色の点は、中立で動いていない。青い点は、活動が抑制されていることを示す。

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第3図の口頭説明の要点
・マウスの子宮肥大を調べる実験の紹介。左隅の図
・クラスター分析の結果、赤い線は活性化した。青い線、抑制。黄色い線は、変化せず、中立性
・天然女性ホルモン(E2)の影響は、マウスの雌の成長過程でも、影響が違っていて、クラスター分析の線の違いがある。
・ノニルフェノール(NP)、ビスフェノール(BPA)など女性ホルモン作用があるものは、E2とは異なった遺伝子を活性化、抑制化している。
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第4図の口頭説明の要点
・天然女性ホルモン(E2)と合成女性ホルモン(DES)、さらに女性ホルモン作用があるノニルフェノール(NP)、ビスフェノールA(BPA)、デイブチルフェノール(DBP)が、マウス子宮の遺伝子群で活性化する数と共通する遺伝子群の領域を表した。重ならない遺伝子領域が多い。ーーーーこのように、ノニルフェノール(NP)、ビスフェノールA(BPA)、デイブチルフェノール(DBP)などの環境ホルモンの影響は、遺伝子群レベルで、未だ不明なところが沢山存在し、その解明が、今後重要である。環境ホルモン問題は、終わっていない。
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第5図の口頭説明の要点
・屎と尿分離型トイレを紹介した。人の天然ホルモン、合成女性ホルモン(避妊ピル)、血液降下剤などの治療薬剤が、人の尿に排泄されることから、現在屎尿を混ぜて処理する下水処理や中西準子氏が推奨しえいる合併浄化槽のあり方に、疑問が生じていることを、指摘した。
・新しい屎尿処理、下水処理は、屎と尿を分離し、処理することで、環境ホルモン対策になることを紹介した。
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第6図の口頭説明の要点
・松井研究室で、人尿中に排泄されるダイオキシン(TCDD)を、追跡したら、ダイオキシンは尿中に排泄されないことが分った。代わって、クロマトグラフで、ピンク色の物質が、ダイオキシン受容体(多環芳香族受容体=AhR)に、敏感に結合し認識されることを発見した。
・その物質は、インデイルビン(Indirubin)であることを突き止めた。これは、世界で初めての発見である。
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第7図の口頭説明の要点
・インデイルビン(indirubin) に加えてインデイゴ(indigo)も人の尿中に排泄されることを確認した。藍染の線量物質が人体でも低濃度で合成されている。また、牛の血清にも存在すると説明した。
・これらは、アミノ酸の1種トリプトファン2分子が腸内細菌により結合され、さらに肝臓で合成されていることを説明した。
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第8図の口頭説明の要点
・ダイオキシンと比較すると、インデイルビン(indirubin)は、50分の1、インデイゴ(indigo)は同程度の濃度で、ダイオキシン受容体と結合することから、本来、多環芳香族受容体=AhRは、インデイルビン、インデイゴを解毒排除するために、動物進化の過程で発生したと松井仮説を説明した。即ち偽の鍵(ホルモン)と真の鍵(ホルモン)の区別である。
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第9図の口頭説明の要点
・ところがダイオキシン(TCDD)とインデイルビン(Indirubin)は、ヒト肝臓ガン細胞を利用した、マイクロアレイ実験で、1176種の殆ど同じ遺伝子群を動かすことを、明らかにした。
・それでは、両者の毒性の違いを、どのように説明するか?
・ンデイルビン(Indirubin)は速やかに尿に排泄さる、一方
・がダイオキシン(TCDD)は、なかなか排泄されず細胞内に残留し、AhRはじめ遺伝子群を無駄に動かし続ける。
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第10図の口頭説明の要点
・ダイオキシン(TCDD)とインデイルビン(Indirubin)が活性化する遺伝子の内、
・酸素添加酵素CYP1A1は、ダイオキシン10pM(ピコモラー)濃度では活性化されず、100pM(ピコモラー)濃度で十分に活性化し、それ以上濃度を上げても活性化は代わらない。酸素添加群酵素CYP1A2も同様の結果。
・活性化の持続時間経過を見ると、インデイルビンは、10時間後に減少するが、ダイオキシンは活性化を持続増大させた。
・TCDは細胞から排除されにくい間に、遺伝子を過剰に動かし、CYP1A1,CYP19等ステロイドから女性ホルモン生成に関係する遺伝子が過剰に動く可能性を指摘しました。
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第11図の口頭説明の要点
・東京大学の大竹らは、エストロゲン(女性ホルモン)がエストロゲン受容体に結合した複合体が、遺伝子結合領域に結合すると、その時、ダイオキシンがダイオキシン受容体に結合した複合体が、さらに遺伝子結合町域に結合したエストロゲン複合体に複合結合して、エストロゲンが、本来伝達すべき信号(遺伝子群の活性化など)を妨げてる、新しい事実を紹介した。
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第12図の口頭説明の要点
・ダイオキシン(TCDD)の代わりに発癌性が明確なベンゾ(a)ピレン(Benzo(a)pyrene)を使い、AhR(多環芳香族受容体=ダイオキシン受容体)に需要されたベンゾ(a)ピレンが、どのような機構で細胞内で動き(環境ホルモンと発ガン性の関係性の明確な説明)受容体から離れた後に酸化、還元を受けその間、スーパーオキシドを誘導し酸化態遺伝子付加体を形成し、遺伝子損傷の原因となるか重要な説明をした。また、ベンゾ(a)ピレンに抱合体が生成されれば、ベンゾ(a)ピレンは、細胞外から尿中に排泄される(解毒機構)を説明した。ところが、ダイオキシンはこの解毒機構(尿中排泄)が働かない(ダイオキシンが排泄される経路は、皮脂と糞便に排泄、また胎児に蓄積)と指摘しました。
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第13図の口頭説明の要点
・このようにダイオキシンの毒性機構を説明してきたことから、松井研究室の科学の新しい知見を踏まえて、今後、心配される化学物質がナノ粒子であると指摘し、京都新聞を紹介した。ここで、ナノ粒子(ナノフラーレン、ナノチューブ)の、懸念は、細胞内に侵入すると現在の、松井研究室の知見では、細胞外に排除する解毒機構が、不明であることから、ダイオキシンと似た状況が推定されるとして、松井の独自の見解として指摘しました。
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第14図の口頭説明の要点
・化学物質の生命活動に与える多面性を、活性化されたり抑制される遺伝子群の不明な点から指摘した。
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第15図の口頭説明の要点
・環境ホルモンの研究者の中で一致している重要な見解をまとめた。
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第16図の口頭説明の要点
・科学者は実験や計算で科学証明を行うが、その結果 実態との間に、食い違いが総汁。この科学者が判断を間違うタイプは2種類ある。間違って有害性=間違い1型と間違って無害性=間違いII型。有害物質=環境ホルモンのように複雑で、遺伝子レベルの影響を見ると白黒の決定がいまだ難しいものは、予防的見地から間違って有害性=間違い1型を取るほうが、良いという立場を表明した。