環境ホルモン濫訴事件:中西応援団(判決確定につき、新規投稿受付は停止)


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記事番号:1866
タイトル:ネットワーカーの立場から
名前:apj
投稿日時:2007/04/03(Tue) 01:34:04
URL:未入力
 「ア 本件ホームページの性質」という項目を設けて、情報発信の態様をきちんと認める所から出発している点が、今後に良い影響を及ぼすと考えます。ウェブは個人が持つメディアの面があり、従来のマスメディアとは違うのですが、メディアとして存在を認めるという立場で判決が書かれています。これは、今後個人がネットを使って発信することを評価するという方向に効きますから、ネットワーカーとしてはありがたいです。
 「ところで,ある特定の記事中の記載が,人の社会的評価を低下させ,名誉毀損となるかについては,当該記載の文言だけではなく,表現方法並びに記事全体の構成,内容,趣旨及び目的等を総合的に検討した上で,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきである。」というのも、きわめて常識的な判断ですね。

 少し気になったのが「原告に対する否定的評価を含むものではない」という判断が出たところです。
 10年以上前に、fjで、投稿に対して「バカ」とコメントしたことで論争になってました。まあ、ずばり「バカ」じゃあ法廷に持ち込まれれば名誉毀損が認められちゃうかもしれません。この時は話は法廷には行かず、fjの中では、「バカ」というのは特定個人にリンクするものではなく行動にリンクするものだ、という議論が出てきていました。つまり「バカな行動」というものが特定個人とは無関係に存在するだけであって、「バカな人」は存在しないということです。すると、行動を批判することと、人格をおとしめることは全く別のことがらになります。また、ネット上では内心まではわかりませんから、行動とはあくまでも他人が外から認識できる範囲に限られることになります。私は、情報発信の時に、外見からわかる行動にして批判をするのはかまわないが、人格に対する批判に至ると行きすぎになるという感覚をずっと持ってきました。
 今回の訴訟の発端となった中西氏雑感は、松井氏の行動を批判したものです。もし、松井氏以外の誰か別の人が例のシンポジウムのような場で中西氏の前で同じことをしたとしたら、きっと同じように書かれたでしょう。中西雑感の内容は専門家としてやってほしくない行動についての批判に過ぎず、それをたまたまやってしまったのが松井氏だったというだけの話です。私は、批判の内容は本来松井氏個人にさほど強くリンクしていないものだと感じていました。
 裁判所の判断は「批判の対象としているのは,あくまで本件シンポジウムにおける特定のプレゼンテーションの在り方」、「学者が情報発信する際には,新聞記事のとおりではなく,原論文を読んで自分の意見を伝えるべきであるという趣旨で,あくまで学者の発表方法についての一般論として記載されたと認めるのが相当であり,これを原告のみに対する非難であるとすることはできない。」「原告が新聞記事を示した際に原論文を読んだ上で自分の意見を加えなかったということを超えて,原告が新聞記事を鵜呑みにしたという印象までも与えるということはできない」となっています。誰がそのシチュエーションでその行動をしても同じように批判の対象となるだろう、ということを裁判所が理解した書き方になっているので、外見からわかる行動に対する批判がそれだけに止まる限り、人格と自動的に結びつくものではないという考えかたと非情にしっくりくる内容だと思いました。
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