7Beの半減期短縮の実験がナノ銀除染の根拠にならない理由について

フォーラム フォーラム 平成26年ワ29256 7Beの半減期短縮の実験がナノ銀除染の根拠にならない理由について

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    apj

     読みやすい解説としては、「放射化学ニュース」第15号(2007) p4〜の記事など。必要な参考文献もこの記事中に引用されている。

     放射性壊変、というのは、不安定な原子核が、安定なものに変わっていく過程です。この時、エネルギーの保存と電荷の保存が壊変の前後で
    成り立っている必要があります。

     α壊変、というのは、α粒子(陽子2中性子2)の塊を核が放り出すことで安定になります。

     β壊変には3種類あって、
    βー壊変 電子を放り出す

    β+壊変 陽電子を放り出す
    EC(電子捕獲)

    があります。

     βー壊変では負の電荷を持った電子を放り出す→核は元々正電荷を持っているのにさらに負の電荷を放り出すには、核の側に正の電荷が1つ生じないと差し引きゼロにならない→中性子が陽子に変わる、ということが起きます。

     β+では正の電荷をもった陽電子を放り出す結果、陽子が1つ中性子に変わることで核の電荷を1つ減らして差し引きゼロにします。

     ECでは、原子核の陽子が核の外側の電子を引っ張り込んで結合します。この結果、核の陽子1つの電荷が差し引きゼロになる、つまり中性子になります。

     β+とECでは、どちらも、核の陽子が1つ中性子になっています。このため、β+とECは競合する過程です。(細かい話をすると壊変前後の中性原子の質量差が電子の2倍の質量以上ない場合、といった条件が付きますが、これは知らなくても問題ないです)

     さて、通常の化学反応に関わるのは、原子核の電子のうち外側にある電子です。ECに関わるのは、原子核に近い電子、つまり一番内側の電子です。化学反応では、外側の電子の様子が変わっても内側の電子は変わらないことがほとんどです。

     もし、原子核のまわりの環境を大きく変えて、一番内側の電子の状態まで変えることができれば、ECの起こりやすさが変わることが予想されます。大槻さんの仕事は、一番内側の電子の状態が変わりそうな条件に見当をつけて、フラーレンにとじこめるというアイデアを思いついて実験した結果、実際にECの起きる確率が変わったということを実験的に示したというものです。

     大槻さんの用いた7Beですが、100%ECで壊変する核種です。Beの原子番号は4で、もともと引き連れている電子の数も4つしかありません。たくさん電子を持っている原子核ですと、外側の環境を変えても内側の電子にまでなかなか影響しません。つまり、もともと電子が少ない原子を使うことで内側の電子に影響しやすい条件にしておいて、かつ、ECが100%という観測しやすい条件で精密に測ってやっと違いが見えた、という話なのです。

    大槻さんの観測した現象は、
    ECで壊変する核種でしかみられない
    (論文にはわかりきったこととしてあんまりはっきり書いてないが、この現象は電子の多い核種ではなかなか起きないだろう)
    というものです。

    アイソトープ手帳を見ますと、今問題になっている除染対象
    137Csの壊変形式はβー
    134Csもβー、
    問題になってないけど時々騒ぐ人がいる
    90Srはβー、
    トリチウムもβー
    で壊変します。ECを起こすものはありません。

     除染の対象になる核種のうち、ECで壊変するものはありませんから大槻さんの論文で述べられている現象を利用して除染することはできません。

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