○に数字は文字化けするので、1), 2)などに置き換えた。
控訴が行われなかったので、この判決は確定している。
平成22年6月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 稗田俊彦
平成20年(ワ)第5号損害賠償議求事件
口頭弁論終結日 平成22年3月11日
判決
山形市■■■■■■■■■■■
原告天羽優子
同訴訟代理人弁護士 弘中惇一郎
同 弘中絵里
同 大木 勇
同 品川 潤
神戸市■■■■■■■■■■■
被告 吉岡英介
神戸市■■■■■■■■■■■
被告 ネオガイアジャパン株式会社
(旧商号 マグローブ株式会社)
同代表者代表取締役 上森三郎
ネオガイアジャパン株式会社
神戸市■■■■■■■■■■■
被告株式会社Kenkanko
(旧商号 有限会社健康と環境の神戸クラブ)
同代表者代表取締役 吉岡英介
被告ら訴訟代理人弁護士 小野誠之
同 高橋みどり
同 野澤 健
同 浅井悠太
同
主文
1 被告吉岡英介は,原告に対し,金55万円及びこれに対する平成20年1月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告吉岡英介は,未販売の及び今後重刷する別紙書籍目録記載の書籍から,別紙1記載の文言のうち,本件記載1ないし14,16,17の文言及び42ページに掲載の原告の写真を削除せよ。
3 被告吉岡英介は,ウェブサイト「お茶の水女子大学への要求書」(http://www.minusionwate「.com/)から,別紙2記載の文言のうち,本件記載18ないし32,34ないし38,43及び44の文言を削除せよ。
4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,原告に生じた費用の6分の1と被告吉岡英介に生じた費用の2分の1を被告吉岡英介の負担とし原告及び被告吉岡英介に生じたその余の費用と被告ネオガイアジャパン株式会社及び被告株式会社Kenkankoに生じた費用を原告の負担とする。
6この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 被告らは,原告に対し,連帯して660万円及びこれに対する平成20年1月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告らは,未販売及び今後重刷する被告吉岡英介の著書「水は変わる」から,別紙1記載の文言及び42ページに掲載の原告の写真を削除せよ。
3 被告らは,ウェブサイト「お茶の水女子大学への要求書」(http://www.minusionwate「.com/)から,別紙2記載の文言を削除せよ。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
5 第1項につき仮執行宣言。
第2 事案の概要
本件は,山形大学准教授である原告が,原告の共同研究先であるお茶の水女子大学のウェブサイト「水商売ウォッチング」(以下「原告サイト」という。)を運営していたととろ,被告吉岡英介(以下「被告吉岡」という。)が原告サイトの表現方法等が不適切であるとし,お茶の水女子大学に対し原告サイトに対する批判文書「水は変わる」を提出し,同文書を書籍として出版・販売し,さらに自らの開設するウェブサイト(http://www.minusionwate「.com/。以下「被告吉岡サイト」という。)に同文書の記載全文を掲載した上で原告に対する批判をしたととろ,上記各表現行為に,原告の社会的評価を低下させ,又は名誉感情を侵害する箇所があると主張し,被告吉岡に対し不法行為に基づく損害賠償を請求するとともに,同文書等には原告の写真が掲載されておりこれにより肖像権が侵害されたとして不法行為に基づく損害賠償請求を,人格権侵害に基づき,被告吉岡サイト及び同書籍から原告の名誉権及び名誉感情を侵害する上記箇所及び上記写真を削除することを求め,さらに,被告ネオガイアジャパン株式会社及び被告株式会社Kenkankoに対し,会社法350条に基づき被告吉岡と連帯して損害賠償する乙とを求めるとともに原告の名誉権及び名誉感情を侵害する上記箇所及び原告の写真の削除を求める事案である。
1 前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,証拠上容易に認めることができる事実である(証拠によって認定した事実は,認定事実の後に,認定根拠となった証拠をかっこ書する。)。
(1)原告は,平成12年9月にお茶の水女子大学で博士(理学)の学位を取得し,平成15年4月から9月まで広島大学大学院理学研究科で助手を務め,平成15年10月から平成19年3月までは山形大学助教授(理学部・物質生命化学),平成19年4月から現在に至るまで,山形大学准教授(理学部・物質生命化学)の地位にある(甲11)。原告は,ラマン散乱や赤外吸収といった方法を用いて,水,水溶液,液体の物性を調べることを専門にしている(甲11,原告本人)。
(2)平成11年2月,原告は,お茶の水女子大学大学人間文化創成科学研究科自然・応用科学系教授である冨永靖徳(以下「冨永」という。)に師事し,水や水溶性の低振動ラマン散乱の実験をしていた。当時,お茶の水女子大学の教員等は,大学の持っているサーバ内にWebページを持つことが許されていたため,原告は冨永の許可を得て「富永研究室びじた一案内」という名称で冨永の研究室ページを紹介するページを立ち上げ,その一部に「ap」’s p「lvate page」として「水商売ウォッチング」など原告が個人的に運営するコンテンツを盛り込んだ(甲11,甲25,甲28)。原告は,原告サイトにおいて,水関係の力11工装置の説明をしているページへの,コメント付リンク集を作っている(乙2の1)。
(3)被告吉岡は,平成14年ころから株式会社エッチアールディ(以下「エッチアールディ」という。)の「ダイポール」という磁気活水器(以下「ダイポール」という。)の普及活動を行っていた(甲23)。
なお,エッチアールディは,平成16年1月乙ろから平成17年12月7日ころまでの問,インターネット上に開設し一般消費者に対し閲覧可能な状態にしているホームページに掲載した広告において,ダイポールに水道水を通過させることによって得られる水は,風呂場のかびの発生やパスタブ内の湯あかの発生を扮lえ,トイレの水あかをつきにくくし,トイレの臭いを解消し,洗濯時に衣類の汚れが落ちやすくふっくらと仕上げ,洗剤の使用量を削減し,台所のシンク周りのぬめりを抑え,食器のしつ乙い油汚れを落ちやす
くするかのような表示をした(以下「本件表示」という。甲17の2)。
(4)原告は,平成14年4月10日,原告サイトに以下の書込みをした。
「株式会社エッチアールディ(2002/04/10)」,「業務用の磁気活水器「ビッグポール」と家庭用の磁気活水器「ダイポール」と,水の殺菌システム「エコシステム」を販売している。」,「技術的な話は,「ビッグポール」のページの左側にある目次をクリックすると読むことができる。まず「構造と原理」を見ると,「電子の入った水はマイナスイオン水となり,蛋白質・糖を活性化し,かつブラウン運動が大きくなるため,動物,植物の細胞への浸透効果があります」「と,書かれているが,どの文節の記述も,我々の科学的知識とは相容れない。」「まず,「電子の入った水」だが,水の中に余分な電子がうろうろすることは,普通にはあり得ない。どうしても電子を注入したければ,水に高電圧をかけて絶縁破壊を起こさせるしかない。塩基,例えばNaOHを溶かした水では,水酸化物イオンOHーが生じることが知られている(というか乙れが塩基の定義である。)。OHーは確かにマイナスイオンの一種であるが,電子を入れたのではなく,塩基の電離によって生じたものである。塩基を水に溶かしたらできるのであって,単に水に溶けている不純物の化学的組成で決まる話で,磁場とは無関係である。(以下省略)」(乙2の1・39,40頁)
(5)被告吉岡は,平成15年11月22日から同年12月25日までの間に,5度にわたり,原告に対し,磁力線を通すと水の性質が少し変わること等についての見解を記載したメールを送信した(乙2の1・61ないし91頁)。
(6)平成17年10月,被告吉岡は「健康と環境の神戸クラブ」代表者の肩書きで「お茶の水女子大学への要求書天羽優子氏の(水商売ウォッチング)を貴学のウェブサイトから排除していただきたい」とのサブタイトルを付け「水は変わる」と題する書面(以下「本件プリント版」という。)を提出し(以下「本件交付行為」という。),同年11月,同書面を書籍(別紙書籍目録の書籍を指す。以下「本件書籍」という。)として発行した(以下「本件発行行為」という。甲2,甲4,甲5,弁論の全趣旨)。本件書籍及び本件プリント版には,別紙1のとおりの記載がある(甲5,乙1。なお,下線を引いた部分は原告が名誉殴損又は侮辱に該当すると主張している部分である。)。本件プリント版はお茶の水女子大学ホームページ運営委員会の議事録につづられ,お茶の水女子大学の教職員であれば自由に閲覧できる状態である(弁論の全趣旨)。
また,被告吉岡は,同年11月,本件書籍の全文を被告吉岡サイトで公開した(以下「被告吉岡サイト掲載行為1」という。甲4,弁論の全趣旨)。なお,被告吉岡サイトには別紙2記載1)ないし9)のとおりの記載がある(甲3の2ないし7。なお,下線を引いた部分は原告が名誉毀損又は侮辱に該当すると主張している部分である。)
さらに,本件プリント版の32頁及び本件書籍の42頁には,平成16年10月号「第三文明」(株式会社第三文明社発行。以下,当該雑誌を「第三文明」といい,同会社を「第三文明社」という。)に掲載された原告の顔写真(以下「本件写真」という。)が掲載されており,同写真は,被告吉岡サイトにおいて,510X816の高解像度の画像として掲載されていた(以下「本件写真転載行為」という。)。なお,原告は,第三文明社に対しては本件写真の撮影及び掲載を承諾しているが,被告吉岡に対しては本件写真の掲載を承諾していない。
(7)公正取引委員会は,平成17年12月26日,エッチアールディに対し,「ダイポール」を販売するにつき,本件表示を行ったことは景品表示法4条2項,同条1項1号に違反するとして,同法6条1項に基づき,1)本件表示は,一般消費者に対し,実際のものよりも著しく優良であると示すものである旨公示すること,2)再発防止策を講じて,これを役員,従業員及び販売員に周知徹底させること,3)以後本件表示と同様の表示を行わないことを命じた(甲17の2)。
(8)被告株式会社Kenkanko(平成20年7月9日以前の商号は有限会社健康と環境の神戸クラブ。以下,時期を問わず「被告Kenkanko」という。)は,会員組織で会員に製品を販売している株式会社であり,被告吉岡は,平成18年1月11日に取締役に就任した。
(9)平成18年1月25日,被告吉岡は,「小企業オーナーの自由な集まり健康と環境の神戸クラブ(HEC)Hea1th&Envi「onment Club Kobe」,「健康と環境の神戸クラブ」代表の肩書きで,お茶の水大学理学部長に対し,被告吉岡が「ダイポール」という水の物性を少し変える道具を販売していること,原告サイトが5年にわたり水に関するビジネスを攻撃していること,原告サイトがお茶の水女子大学理学部の公式サ
イトであるにもかかわらず原告はお茶の水女子大学に所属していないこと,原告サイトの是非を理学部全体の教授会で検討してほしいことを記載した書面を送付した(甲6の1)。
(10)被告Kenkankoは,平成19年に「磁気活水器マグローブ」という製品(以下「本件製品」という。)を開発した(甲13,甲14)。本件製品は,ダイポールを改良したものであり,水を通す管の周囲に永久磁石を
配置し水の中に磁力線を通し,水がその磁力線を通った後に生じる変化を色々な用途に活用することを目的とするものである(甲23,乙26)。
被告吉岡は,平成19年2月13日,有限会社サニオンを組織変更し,商号も変更して,マグローブ株式会社とし,代表取締役に就任した(平成21年4月12日にネオガイアジャパン株式会社と商号変更した(以下,時期を問わず「被告ネオガイア」という。甲23,被告吉岡本人,弁論の全趣旨)。被告ネオガイアは,平成19年から本件製品を製造し,被告Kenkankoがそれを販売している(甲13,乙26,弁論の全趣旨)。なお,本件製品は,水道管口径20mm用につき19万8000円(税込み,送料込み),同25mm用につき24万8000円(税込み,送料込み)で販売されてい(甲20)。
(11)平成20年1月から2月にかけて,被告吉岡は,被告吉岡サイトに,別紙2記載10)ないし15)を書き込んだ(以下「被告吉間サイト掲載行為2」といい,被告吉岡サイト掲載行為1と併せ「被告吉岡サイト掲載行為」というとともに,被告吉岡サイト掲載行為,本件交付行為及び本件発行行為を併せ,「本件表現行為」という。甲3の10ないし15。なお,下線を引いた部分は原告が名誉毀損又は侮辱に該当すると主張している部分である。)。
2 争点とこれに関する当事者双方の主張
(名誉毀損の不法行為関係)
(1)本件記載1ないし14,18ないし32及び36は,原告の社会的評価を低下させるか(争点1))
ア 原告の主張
本件記載1ないし14,18ないし32は,原告が販売妨害目的及び個人的利益を図る目的で原告サイトを開設しているとの事実を摘示したものであり,一般読者の普通の注意と読み方を基準にすれば,原告が,お茶の水女子大学と共同研究をしている学者という地位を濫用して,専ら個人的利益を追求するために,企業の営業を妨害するという不当な目的で,原告サイトを運営しているかのような印象を一般読者に与えるものであり,原告の品性,学者としての信用といった人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものである。
また,本件記載36は,原告は山形大学のサイトに勝手にブログを開設した犯罪者であるという事実を摘示したものであり,これは原告の人格的価値について社会から受ける客観的価値を低下させるものである。
なお,本件プリント版については,お茶の水女子大学ホームページ運営委員会において対応が審議され,委員会において本件プリント版が回覧された上,委員に対して,表紙,序文,目次及び第5章の写しが配布され,さらに委員会の議事録に本件プリント版がつづられた。同議事録は,お茶の水女子大学の教職員であれば自由に閲覧できるし,それ以外の者についても,情報公開の手続を経れば閲覧することができる状態にあるから,不特定多数人への伝婿可能性が存在するというべきである。
イ 被告らの主張
(ア) 被告らは,原告が企業の営業を妨害することを目的として原告サイトを設置しているかどうかについて不知であるし,そもそも「目的」という言葉は使っていないから,本件記載1ないし14,18ないし32及び36につき原告の主張のような評価をすることはできない。
(イ) 本件表現行為はすべて原告の記述を基にしたものであり,それを被告吉岡がどう解釈したかという乙とそ記載したにすぎない。仮にそれが名誉毀損になるというのであれば,それは原告の記述そのものが原告の名誉をおとしめるものであるからにすぎない。
(ウ) 本件交付行為は,特定少数人への伝達である。また,本件プリント版はウェブサイト管理についての要求を記載したものであるから,学内でそれを管理する部署の担当者のみが関覧すべき性質のものであって,その範囲を超えて伝矯する性質のものではない。よって,本件交付行為に伝播可能性はなく,名誉毀損に該当しない。
(エ) 本件記載32は,石田剛(外1名)という者の掲示板への書き込みに対する論評であり,原告に対するものではない。
(オ) 本件記載36は,その前後の文脈において,「サイトの費用が山形大学から支払われているとしたら」「勝手にそのような仕掛けをした者」という前提条件を付して,そのような行為者は「窃盗罪」となり,「犯罪行為をした者」との論旨を述べているものであり,被告吉岡が,原告の行為に疑義をもち,その疑いのとおりであれば,それが犯罪行為になるとの論埋を述述べたものにすぎないから,原告を「犯罪者」と指摘したとはいえない。
(2) 本件記載1ないし14,18ないし32及び36は,公共の利害に関する事実にかかるものでありかつ専ら公益を図る目的でされたものであって,その内容が真実であり,又は被告らが真実と信じたととにつき相当の理由があるか否か(以下「違法阻却事由1)」という。)
ア 被告らの主張
(ア) 本件記載lないし14,18ないし32及び36は,公共の利害に関する事実に係るものであり,かつ,専ら公益を図る目的でされたものである(以下,乙の点についての争点を「争点2)」という。)。
被告吉岡は,お茶の水女子大学のウェブサイト上において,国立大学の権威の下,産業界への不当な干渉が行われていることについて表現行為を行っているから,乙れは公共の利害に関する事実に関するものであることは明らかである。また,上記不当な干渉の除去を図ることを主目的としているから,本件表現行為が主要な動機が公益目的であることは明らかである。
(イ) 本件記載1ないし14,18ないし32及び36は,以下の理由により,真実であるか,そうでないとしても被告らが真実と信じたことに相当の理由がある(以下,との点についての争点を「争点3)」という。)。
a 原告は,平成20年7月12日,原告サイトにおいて「私は,今後も,特定の企業の利益の差し障りがあってもニセ科学に対する批判は続けていくつもりですし,法的紛争をどうするかということも考え
ていくつもりですし,機会があれば,判例を積み重ねることを厭わないつもりです」との書き込みを行っていることからすれば,原告の言動が意図的であることは明らかである。
b また,原告サイトには,原告サイトに対する各種企業からのクレーム及びクレームに対する原告の対応が時系列に沿って並べられているところ,そのクレームの内容から,現実に営業妨害結果が生じていることは明らかである。
c 原告は,以下のとおり,原告サイトの運営が企業の営業妨害結果を生じさせることを認識し,認容している。
(a)原告は,原告サイト上で,企業がクレームをつけてくることは予想していると明言している。
(b)原告は,被告吉岡が,原告サイトの批判を読んだ消費者がその製品を買い控えるという指摘に対し「それはしょうがないでしょうね」と発言している。
(c)原告は,平成13年の段階で弁護士事務所に法律相談に訪れており,その後も原告サイトの運営を継続している。
d 本件記載36は以下の理由により真実である。
原告は山形大学に対する訴訟において,請求の原因第1の1第2文において,原告は山形大学の研究室のウェブサイトの中で,ウェブブログf事象の水平線」(http://www.cm.ki.yamagata-u.ac.」p/blog/index.php)を制作していると主張した。乙れに対して,山形大学は,「山形大学のウェブサイトの中で」との点につき否認し,山形大学においてウェブブログ「事象の水平線」を制作している事実はなく,また上記ウェブブログは存在しないと認否した。
e 仮に上記摘示事実が真実ではなかったとしても,被告吉岡は,原告サイトにおける原告の発言を精査し「第三文明」における原告のインタビューを入手した上で分析している。また,被告吉岡は,平成15年に原告との問で往復メールのやりとりを行った後2年にわたり準備を行い,本件表現行為を行うに至っており,被告吉岡がマスメディアには属さない一般私人であることからしでも,被告吉岡は,一般人に求められる調査義務は十分に果たしており,その上で上記摘示事実が真実と信じたことについては,相当な理由があるというべきである。
また,本件記載36については,山形大学の上記主張のうち「山形大学のウェブサイト上には」という文言には,山形大学のドメイン名で開設されたウェブサイト全てを含むと解するのが通常であること,原告が適切な手続を経てウェブブログを開設しているかどうかについてを容易に知る立場にあるべき山形大学が上記のような認否をしたととからすれば,被告吉岡が「原告が山形大学に無断で,山形大学の
ドメイン名で勝手にブログを開設した」と信じたことについては,相当の理由がある。
イ 原告の主張
(ア) 被告らの(ア)の主張は争う。
(イ) 原告が原告サイトを設置した目的は,誤った科学的知識の流布を防止することによって,専門的研究機関である大学理学部として社会に貢献し,社会的損失の発生の防止,研究費の順当な配分の実現を図ることにあるのであって,原告が販売目的で原告サイトを開設しているとの事実は,真実に反する。
(ウ) 原告サイトを開設することが原告の就職の有利に働くことはあり得ないことからしでも,原告が個人的利益を図る目的で原告サイトを開設しているとの事実は,真実に反する。
(エ) 原告は,山形大学において定められた正規の手続に従って,山形大学のサーバ内に自己のウエブサイトを設置していたのであり,原告が犯罪者であるとの事実は,真実に反する。山形大学が,山形大学のウェブサイト上に原告制作のブログは存在しないと主張したのは,山形大学のドメイン名を使用しているアドレスの中に原告のブログが存在していないという趣旨ではなく,山形大学自らが作成し管理するサイトの中に,「事象の地平線」というサイトが存在しないという趣旨であった。本件記載36が真実に反することは,山形大学に問い合わせるなどの方法によって調査していれば容易に判明したことであるから,相当性が認められる余地はない。
(3) 他の違法阻却事由の有無(争点4))
ア 被告らの主張
(ア) 本件交付行為は,被害者の承諾があるから,違法性を有しない(以下「違法性阻却事由2)」という。)
原告白身が,原告サイトにおいて「それはともかく,大学にクレームを送ってくれることは歓迎する。対処法を作るためのトリガーが必要なので,クレームを送ってくれることはむしろありがたい。」と発言しており,被告吉岡はその言葉に従ってお茶の水女子大学にクレームを届けたのにすぎないから,本件交付行為については被害者の承諾があるとみるべきであり,違法ではない。
(イ)本件記載行為は,言論の応酬の一環としてされたものであり,違法性を有しない(いわゆる言論の応酬の法迎。以下「違法性阻却事由3)」という。)。すなわち,原告は,本件表現行為に先立って,種々の先行行為(被告吉岡が原告に対して送ったメールの公表及び岡メールに対する
揶揄・嘲笑,磁気活水器についての断定行為,体に良い水は存在しないとの断定行為,実在する会社の社名・商品名を挙げての一方的批判,「水商売」という表現)を行っており,被告吉岡はそれに対応して各表
現行為を行ったものであるから,やむを得ない行為であったといえる。
(ウ)被告吉岡サイト掲載行為はいわゆる対抗言論の法理からも違法性を有しない(以下「違法性阻却事由4)」という。)
対抗言論の法理とは,インターネットを通じた名誉毀損に対する救済方法として,表現者に対して法的制裁を科す前に原則として反論言論により名誉回復を図ることを求めるべきであるとする法理である。ネットワーク上の言論攻撃に対しては被侵害者の方でも直ちに反論できる立場にあるのであるから,よほどの乙とがない以上名誉聖堂援の成立は認めることができない。本件においては,被告吉岡は被告吉岡サイト上において原告に対する表現行為を行っているところ,原告は,ネットワーク上で発言をしたわけではないが,双方ともに自己の管理するホームページを有している状況の下では,被告吉岡の表現はネットワーク上の表現と同視できる。よって,原告は,自己の管理するホームページ上で被告吉岡の表現行為に対する反論を行わずに被告吉岡に対し法的制裁を加えることは許されないから,被告吉岡サイト掲載行為には違法性が存しない。
(エ)原告は,本件表現行為の時点で,公的存在になっていたと評価するととができる。そして,自己の業績,名声,生活方法などにより公的存在になった者,又は公衆がその行為や性格に興味を持つであろう職業を選択することにより公的存在になった者は,その公的存在や活動に付随した範囲及び公的存在や活動に対する評価を下すに必要又は有益と認められる範囲では,一定の合理的限界内のものである限り,その私生活を報道・論評する乙とも正当と評価されるから,本件記載1ないし14,18ないし32及び36の違法性は組却される(以下「違法性阻却事由5)」という。)。
イ 原告の主張
被告らの主張は,以下の理由により,いずれも失当である。
(ア) 違法性阻却事由2)について
原告は,原告サイトにおいて,第三者が原告の名誉を毀損したり侮辱したりするような違法な表現を用いることまで歓迎しているものではない。
(イ) 違法性阻却事由3)について
被告らは,原告の先行行為があるから,本件表現行為は原告の受忍すべき限度内であると主張するが,被害者の先行行為により,自己の利益を守るためにやむを得なかったという範囲でのみ正当化されるものであって,被告らのいう先行行為は,被告吉岡の利益を侵害するものではないし,その態様も明らかにやむを得ずしたというものではないから,上記主張は失当である。
(ウ) 違法性阻剥l事由4)について
自分のした言論について反論を受けた場合,その反論に対して再反論しなければならないなどという条理上の義務は存在しないから,対抗言論に関する被告らの主張は失当である。
(エ) 違法性阻却事由5)について
原告は公的人物には該当しないし,仮に該当するとしても,そのことは被告吉岡の言論の公共性を推認させうる一事情にすぎないから,これを違法性阻却事由とする被告らの主張は失当である。
(名誉感情の侵害関係)
(4) 本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45は,原告の名誉感情を侵害するものといえるか(争点5))
ア 原告の主張
人は誰でも,自己の人格的価値に対する自己自身の評価,すなわち名誉感情を持っており,この名誉感情が社会生活上是認できる限度を超えて侵害された場合には,法的に保護される。
本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45は,専ら原告の人格を攻撃し,原告を侮辱するものであり,原告の名誉感情を侵害することは明らかである。
仮に被告吉岡が原告サイト上での原告の発言内容に不満があるのであれば,原告の発言内容についてのみ反論をすれば十分なのであり,原告の人格に対し攻撃を加える必要は全くなく,本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45の記載をすることには全く正当性がないから,本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45が社会生活上是認できる限度を超えて原告の名誉感情を侵害するものであり,違法であることは明らかである。
イ 被告らの主張
原告の上記主張は否認ないし争う。
被告吉岡は,原告の発言内容,原告の科学者としての適性及び教育職としての適性を問題とし,それらに対する論評として本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45の表現行為を行っているにすぎない。つまり,原告の言動や適性についての論評にすぎず,原告に対し人格攻撃を行っているわけではない。
(5) 本件写真転載行為による肖像権侵害の成否(争点6))
ア 原告の主張
被告吉岡が本件写真を原告に無断で本件書籍及び被告吉岡サイトに転載
したことは,原告の肖像権を侵害する行為に該当する。
なお,原告は,第三文明社に対して本件写真の掲載を承諾していたもの
であるが,上記承諾の前提となった条件と異なる条件で写真を公開するに
は改めて承諾を得る必要があるから,本件においては,原告の承諾がない
以上,肖像権侵害に当たるというべきである。
イ被告らの主張
原告の上記主張は争う。
まず,原告が,第三文明社に対し,水・液体の専門家として自己の顔写真が公開されるという点につき明示の承諾をしたと考えられるところ,被告吉岡が水・液体の専門家として本件写真を転載したことは,第三文明社に対する承諾の範囲内にある。仮に当該承諾の範囲外であるとしても,水・液体の専門家として引用される場合に関しては,推定的承諾があったというべきである。
次に,原告は,第三文明社に対して本件写真の撮影と掲載を許諾し,「第三文明」は数万部印刷されて一般に販売,流布されたことからすれば,そのコピーが出回ったとしても原告の肖像権を違法に侵害したということはできない。また,原告は,国立大学の教員として国立大学の公式サイトにおいて民間企業を攻撃している以上,名前や所属だけでなくその姿形を国民の前に明らかにする義務があるから,本件写真転載行為は原告の肖像権を違法に侵害する行為には当たらない。
(6) 被告Kenkanko及び被告ネオガイアの会社法350条責任の成否(争点7))
ア 原告の主張
(ア) 被告Kenkankoの責任
本件プリント版,本件書籍及び被告吉岡サイトには,被告吉岡が被告Kenkankoの代表者として本件書籍を発行し,被告吉岡サイトに記事を掲載していることが明記されている。よって,本件表現行為は,その外形上,被告Kenkankoの取締役としての職務の範囲に属し,その職務を行うについでしたものというべきである。
(イ) 被告ネオガイアの責任
被告吉岡は,被告ネオガイアのウェブサイト上にある「インターネットでの中傷に反論します」という表題のページにおいて,被告ネオガイアの代表取締役の肩書きを用いて,本件書籍を作成してお茶の水女子大学に提出した旨を述べている。また,被告吉岡は,被告吉岡サイトにおいて,本件書籍の内容を掲載するに当たり,被告ネオガイアの代表者であると自ら表記しているほか「インターネット版補遺」と題して,被告ネオガイアの代表者の肩書きを用いて本件書籍の内容を補足する記載をしている。これらのことからすれば,本件書籍の発行,提出及び販売並びに被告吉岡サイトへの記事の記載は,行為の外形上,被告ネオガイアの取締役としての職務の範囲に属し,その織務を行うについてしたものというべきである。
イ 被告らの主張
(ア) 被告Kenkankoの責任について
本件書籍及び被告吉岡サイトの記載が,結果的に被告Kenkankoの利益になるとしても,その目的は原告の言論を批判することにあり,その行為は被告吉岡の行為であることに変わりなく,被告吉岡の上記行為が外形上被告Kenkankoの職務に該当するとか,被告吉岡が被告Kenkankoの職務を行うにつき上記行為を行ったということはできない。
また,本件交付行為及び本件発行行為時である平成17年10月当時には,被告Kenkankoの前身である有限会社健康と環境の神戸クラブは法人として存在していない。かつて個人が行った行為について,当該個人がその後別法人の代表となったことを奇貨として,同法人の責任を追及する原告の主張は,その理論的根拠が不明である。
さらに,被告吉岡は「小企業オーナーの自由な集まり健康と環境の
神戸クラブ(HEC)Health&Envi「onment Club Kobe」(以下「HEC」という。)の代表者として本件プリン
ト版及び本件書籍を執筆したのであり,有限会社健康と環境の神戸クラブとHECとは異なる団体であることは明らかである。
(イ) 被告ネオガイアの麦任について
本件書籍が発行されたのは平成17年11月であり,著者は被告吉岡であるところ,マグローブ株式会社が平成19年2月に商号変更して,被告ネオガイアとなったものであるから,被告ネオガイアが本訴請求にかかる内容の義務を負担する余地はない。
(7) 損害額等(争点3))
ア 原告の主張
被告らは,原告に対し,以下のとおり660万円を支払う義務を負う。
(ア) 本件書籍が発行され,販売され続けていることにより,原告は,名誉権及び名誉感情を侵害され,多大な精神的苦痛を被っている。また,本件プリント板が,原告の共同研究先であるお茶の水女子大学に提出されたことで,原告の名誉権や名誉感情を侵害する表現が原告の関係者に直接流布することとなり,これにより原告の受けた精神的苦痛は極めて甚大である。これを金銭に評価すると,250万円を下らない。
(イ) 被告吉岡サイトに原告に関係する記事が掲載され,違法な表現が世界中に流布され続けることによって,原告は多大な精神的苦痛を被っており,その損害を金銭に評価すると,250万円を下らない。
(ウ) 本件書籍及び被告吉岡サイトに,原告の承諾なく,みだりに顔写真が広く公表されたことにより,原告は困惑,不安感等の多大な精神的苦痛を被っている。この損害を金銭に詳価すると,100万円を下らない。
(エ)原告は,(ア)ないし(ウ)の被害の回復を求めて原告訴訟代理人に委任して本訴提起に至ったが,その弁護士費用のうち,上記各損害額の1割相当額は,本件各不法行為と相当図果関係のある損害というべきである。
イ 被告らの主張
原告の上記主張は否認ないし争う。
(8)被告らは,被告らは,本件記載部分及び本件写真を削除すべき義務を負うか(争点9))
ア 原告の主張
人格的価値は極めて重要な保護法益であるとζろ,人格権侵害が認められる場合には,加害者に対し,人格権の排他性に基づいて,現に行われている侵害行為を排除し,又は将来生ずべき侵害を予防するため,侵害行為の差止めを求めることができる(最高裁昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻49号872頁)。
被告らは,原告の名誉権,名誉感情及び肖像権を侵害する内容の記載を公表しており,これによって今もなお原告の名誉権,名誉感情及び肖像権を侵害し続けているのであって,これを差し止める必要性は極めて高い。
イ 被告らの主張
原告の上記主張は否認ないし争う。
原告の被った損害が,その性質上,これを差し止めなければ事後の金銭賠償によっては回復が不可能か,著しく困難になる程度の重大な損害を被るおそれがある場合に限って差止誘求が認められるところ,本件においては,原告にかかる損害が生じている乙とについて何ら立証されていない。
第3 争点に対する判断
1 争点1)(本件記載1ないし14,18ないし32及び36は,原告の社会的評価を低下させるか)について
(1) まず,原告は,本件記載1ないし14,18ないし32が,原告の社会的評価を低下させるものであると主張するので,この点について検討する。
ア 一般的に,ある檎示が人の社会的評価を低下させるかどうかは,一般人の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従って判断するべきである(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁)。
本件記載1ないし14,18ないし32を一般人の普通の注意と読み方を基準として解釈した場合,原告サイトが企業の販売活動を意図的に妨害していることを意味するものであるといえる(被告らは,本件記載32については,その論評の対象は原告ではないと主張するが,前後の文脈からすれば,論評の対象は原告であると解するのが相当である。)。
原告は,水,水溶液,液性の物性を調べることを専門にしている科学者であり,原告が科学的に正しいと信ずることを原告サイトで述べ,その結果として特定の商品の売上げが落ち,企業活動が結果として阻害されたとの事実が摘示されたにすぎない場合であれば,原告の社会的評価を低下させるものであるということはできないであろう。
しかし,本件記載1ないし14及び18ないし32を全体として読めば,そのような事実を摘示するものではなく,原告が科学的に正しい根拠を示すことなく,当初からビジネスを妨害するだけの個人的な目的で原告サイトを運営している事実を掲示していると解釈するのが相当である。そして,そのような事実は,科学者としての原告の社会的評価を低下させるものといわざるを得ず,乙の点に関する原告の主張には理由がある。
イ なお,被告らは,本件プリント版は特定少数人に対して交付したものであり,伝播可能性はないと主張するので,この点について検討する。
(ア) 本件証拠(末尾に掲記する。)によれば,以下の事実が認められる。
a お茶の水女子大学職員就業規則42条1項において「職員は,職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定している(乙8)。
b お茶の水女子大学情報公開に関する開示・不開示の審査基準第1及び第2において,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)5条の規定に基づき,個人情報(情報公開法5条1号)及び法人等情報(同条2号)は不開示とする旨が規定されている(乙9)。
(イ) 前記前提事実のとおり,本件プリント版はお茶の水女子大学ホームページ運営委員会の議事録につづられ,お茶の水女子大学の教職員であれば自由に閲覧できる状態にある。そして,上記認定事実によれば,お茶の水女子大学職員は,一般的には職務上秘密保持義務が課せられているものではあるが,本件プリント版について職務上の秘密保持義務を負うとは解し難い上,お茶の水女子大学の職員数は相当数に上ることからすれば,特定少数人に対する公開ということはできず,伝播可能性がないということはできないので,被告らの上記主張には理由がない。
(2) 次に,原告は,本件記載36が,原告が犯罪者であることを摘示するものでありこれにより原告の社会的評価が低下したと主張するので,この点について検討する。
ア 本件証拠(末尾に掲記する。)によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 山形地方裁判所平成19年(ワ)第610号債務不存在確認等請求事件(原告が山形大学を被告として提起した。以下「別件訴訟」という。)において,山形大学が,平成20年1月16日付けの答弁書において,「正確には,被告山形大学においてウェブブログ「事象の地平線」http://www.cm.k」,yamagata-u.ac.」p/blog/index.pbpなるものを製作していることはなく,また被告山形大学のウェブサイト上にはかかるウェブブログは存在しない。」と記載した(甲3の15,乙10)。
(イ) 本件記載36の前に.1驚いたことに大学当局は,天羽氏の個人的なブログ(事象の地平線)は,山形大学のサイトにはない,と言っているのだ。いったいどういうことか。天羽氏の個人ブログのU「Lはyamagata-u.ac.」pとなっている。だからふつうに考えて,そのサイトが世の中とつながるための諸費用は山形大学が支払っているはずだ。しかるに,そんなサイトは当大学にはない,と大学当局は裁判所に対して明言している。つまり,山形大学当局が知らないと乙ろで,天羽氏によって勝手なことが行われており,それにかかる費用が,ずっと山形大学から支払われてきた・・・・・可能性がある。それは,電信柱から密かに電気を盗むのと同じ行為ではないか。それは窃盗というものではないか。」との記載がある(甲3の15・6頁)。
イ 本件記載36に至るまでの文脈からすれば,本件記載36は,別件訴訟の山形大学の答弁書を前提にすればという留保を付けつつも,原告に窃盗罪が成立する可能性があること,仮に原告に窃盗罪が成立するのであれば,山形大学は原告を処分するべきであることを意味するものであると解するのが相当であるから,断定を避けつつも,暗に原告を犯罪者とするものであり,原告の社会的評価を低下させるものというべきである。
なお,山形大学の別件訴訟の答弁書の記載を前提としたととろで,山形大学におけるホームページの運用の実情(甲25によれば,お茶の水大学においては,大学が管理するサイトと研究室が管理するサイトがあるというのであり,上記答弁書の内容も,大学が管理するサイトにはないとしているにすぎない可能性が高い。)が明らかにならなければ,原告について窃盗罪が成立するか否かは不明というほかなく,それにも関わらず,推測に基づき犯罪行為が成立する可能性があるとすることは,原告の社会的評価を低下させるものというほかない。
よって,本件記載36が原告の社会的評価を低下させるとの原告の主張には理由がある。
(3) 以上より,原告の主張は,本件記載1ないし14,18ないし32,3.6が,原告の社会的評価を低下させるものであるとする限度において理由がある。
2 争点2)(本件記載1ないし14,18ないし32及び36は,公共の利害に関する事実にかかるものでありかつ専ら公益を図る目的でされたものということができるか)について
被告らは,本件記載1ないし14,18ないし32,36が公共の利害に関する事実にかかるものでありかっ専ら公益を図る目的でされたものであると主張するので,検討する。
(1) この点「公共の利害に関する事実」とは,多数一般の利害に関する事実をさすものであるところ,本件記載1ないし14,18ないし32は,山形大学准教授(平成19年3月までは助教授)であった原告が国立大学であるお茶の水女子大学の共同研究者として,公的活動又はそれに準じた活動としてお茶の水女子大学のサイトで行っている言論活動について,原告を批判するためにされたものであり,原告の活動が公共の利害に関するものである以上,とれに対する批判として摘示された事実も「公共の利害に関する事実」
というべきである。また,本件記載36は犯罪の成否に係る事実であるから,「公共の利害に関する事実」であることは,明らかである。
(2) 次に,本件記載1ないし14,18ないし32及び36が「専ら公益を図る目的に出た」か否か,すなわち,本件記載の主たる動機が公益を図ることにあるか否かが問題となるが,本件記載1ないし14,18ないし32,36は,その文脈からしでも,原告サイトの記載が被告らの企業活動に障害となっているので,その削除を求めるためのものにすぎず,本件記載の主たる動機が公益を図ることにあったとは認め難い。
3 争点3)(本件記載1ないし14,18ないし32及び36が真実といえるか又は被告らが真実と信じたことにつき相当性があるといえるか)について
(1) 被告らは,本件記載1ないし14,18ないし32及び36が真実といえると主張するので,乙の点について検討する。
ア まず,本件記載1ないし14,18ないし32は,原告サイトが企業の販売活動を妨害していること,その妨害は原告が意図的に行っているものであることを意味するから,原告サイトが企業の販売活動を妨害している乙とと,その妨害を原告が意図的に行っていることが真実であるといえるかを検討する。
(ア) 本件証拠(末尾に掲記する。)によれば,以下の事実が認められる。
a 原告サイトの冒頭部分には,以下の記載がある。
「みずーしようばい[水商売]客の人気によって成り立ってゆく,収入の不確かな商売の俗称。待合・貸座敷・料理店・パー・キャバレーの類。(広辞苑)←これの話を期待しているなら,どこか他をあたってほしい。広辞苑にも載ってないし日本語を乱すようで悪いけど,ここでの「水商売」は文字通り,水に付加価値をつけて売る商売のことだ。別名を蛇日産業ともいう。」,「日本は,一部の地域を除いては概ね水に恵まれている。水道も完備されていて,そのまま飲んでも病気にならない水が常に供給されている。それでも最近は,水の中の微量な有毒物質が問題になったり,殺菌に用いている塩素のカルキ臭や水源の微生物によるカビ臭が問題になったりする。そんなこともあって,水の加工方法がいろいろ考え出されて,加工装置が製造販売されている。」,「おいしくて体にいい水が飲めるのはいいことなのだが,その加工方法の中には説明を見てもよくわからないものが混じっている。水の加工の効果の程は確からしいのに,その原理の説明がどう見ても意味不明だったりして,これではせっかくの装置の説明が逆効果なのではないかと思うものもある。まだまだ私は勉強不足なのだろうか。」,「そこで,そういう水関係の説明をしているページへの,コメント付きリンク集を作ることにした。ページを読んでわからないことがあったら素直にわからないと書くつもりだ。おもいっきり変だと思ったらツッコミを入れることにする,もし私のコメントを読んで,何か情報を持っている人がいたらメールで教えてほしい。また,こういう「水商売」についての新しい情報もご存知だったら連絡をください。」,「注意:このページを,水商売を非難したり特定の会社の営業を妨害したりするページだと勘違いする入がたまにいますが,全くの誤解です。ここで行っているのは,会社が公開した製品のメカニズムの説明や,その他の出版物の内容について,科学的に正しいかどうかという観点から議論するということです。会社が公開した試験方法そのものに疑問がある場合はそのことも議論します。特定の会社の製品の最終的な効果については,会社が提示する実験結果等を基本的にそのまま認めています。つまりI会社は虚偽の試験結果を出さなしりという性善説が,私の議論の前提になっています。とりあげる製品や会社を選ぶ時は,サーチエンジンで出た順番だったり,一般の方からメールで教えていただいたり,会社の出している説明のおもしろさによって私が決めています。」,「ここで取り上げたからといって,製品の販売がいけないというととや,性能が悪いというととは意味しません。理由は不明だが効果がある,という製品は,効果の確認がしっかりできているなら販売するととには何の問題もありません。現段階で科学的説明がないことを理由に,有用な水処理方法を捨ててしまうことは,やはり科学の誤用になるでしょう。メカニズムがあとから説明されるというのはよくあることです。ただし,製品の販売や宣伝の際に,わざわざ誤った科学的説明を無理矢理くっつけるということは,科学に対する誤解を広める可能性があるので,私の立場としては見過ごせないからツッコミを入れます。」(乙2の1・1頁)
b 原告サイトにおいて,以下の記載がある。
(a)「日本セルポ株式会社(2001/06/23)」「ポーラー磁気式処理装置の説明を読む。(中略)概念闘は説明の左側にあるが,明らかに水に溶けている不純物が変化する絵になっている。水のクラスターの話はどこにもない。どうやら初めて,クラスターのデマに振り回されていない磁気水装置の会社を見つけることができたようである。磁気水関係の多数の会社が,水クラスターの話をそのまま鵜呑みにしているので一体どうなっているのかと思っていたのだが,ちゃんとわかっている会社がでてきたということは,磁気水業界も希望が持てるようである。」(乙2の1・38頁)
(b) 「スター管理サービス(2001/11/22)」「トップページを見ると,」「磁気と遠赤外線により,水を活性化させる為,アトビーやアレルギーの方でも,安心してお使い頂けます」(との記載があるが」「いろんな磁気活水器の会社の宣伝で共通して出てくるのが,この「活性化」という用語なのだが「活性化」の定義は会社ごとに微妙に違う。」,「装置方法については,」「鉄管を含め,樹脂管など,すべての管の上から挟み込むだけで,延命効果を発揮させます」(との記載があるが)「装置は「外から水道管を挟み込む」んですよね「「特殊抗菌材被膜工法」を用いたセラミックスは装置のどこにあるのだろうか?装置の写真を見ると,磁石も含めてケースに入っているように見える。普通,抗菌材が効果を発揮するのは菌が抗菌材に接触したときだから,制菌言効果は水道水に対してではなくて,湿気の多そうな環境に設置されるであろう装置自体に働くことになる。まあ,菌が繁殖しない方が装置自体は清潔に保たれるだろう。装置を長持ちさせるのに有効かもしれない。但し,これが水質に直接関係するのか?という疑問はあるが,水質に影響するとは宣伝でも書いてない。ウソは書いていないのだから,読む方で気を付けて早合点しないようにすればよい。」
(乙2の1・33,34頁)
(c)「日本超科学会(2002/10/06)」「ピラミッドパワー融合磁気活水器PMα(ピーエムアルファ)のページをまずは見てほしい。」「「ピラミッドパワー」はオカルト業界では定番のフレーズだが,とうとう活水器の宣伝にも登場した。」「一体何のパワーが出てるんだ?スピリットパワー?フレコミ通りなら磁石無しでもいいことになる。どうせなら,磁石無しのピラミッドパワー活水器を出してみてほしいような。もちろんオカルトグッズとしてだけど。」
(乙2の1・48頁)
c 日本システム企画株式会社は,平成13年1月15日,原告に対し,原告サイトにおける同社に関する部分を削除し,謝罪文を載せることを要求する内容のメールを送信した(乙2の1・95,96頁)。
これに対し,原告は,原告サイトにおいて「水商売ウォッチングを企画した時から,いずれは勘違いした会社がこの手の警告をよこすだろうと予想はしていた」,「「これこれの証拠がある」と文書を示してくれれば,余計なやりとり無しに私が謝罪文や訂正を書くことになり,さらに日本システム企画株式会社がいかに努力していい製品を売っているかという紹介文を書くととになったかもしれないのだ。こちらとしてはそのつもりで1次資料のありかを訊いたのに,警告しか返ってこなくてがっかりである。私がやっているのは水商売ウォッチングであって,水商売パッシングじゃないのだ。」とコメントした
(乙2の1・100頁)。
d 原告サイトには「当ページへのクレームについて」という項目があり,その中で,複数の企業から,原告サイトに対するクレームがあったこと及びそれに対する原告のコメントが記載されている(乙2の1・95頁以下)。
e 原告は,平成15年11月25日,原告サイトに,被告吉岡からのクレーム(「「私は,製品の是非については何も言っていないのだ」という主張は,社会常識として通るものではないでしょう。それを読んだ消費者が,その製品を買い控えるのは当然です」)に対し「それは仕方がないでしょうね。ネット上の宣伝なんて,印刷媒体と違って手軽にいくらでも変更できます。印刷媒体であれば,一般向けということで,細かい情報まで書くのは宣伝として効率的ではないでしょうけど,ネットではいくらでも知りたい人に情報提供できます。それをふまえて宣伝方法を変えた企業が有利になることがあるかもしれま
せん。」とコメントしている(乙2の1・69真)。
また,被告吉岡の原告に対する,同日付けのメールにおける「国家から保護される立場に長くある人には,このととがなかなか理解できないようです」との記載に対し「私がまともに就職したのは,こ
の10月からですよ。それまでは次の職があるかどうかも怪しい状態で何とか食いつないでいました。あなたがいろいろ指摘してくださったコメントは,私が将来どうなるかもわからない時期に,自分の将来を賭けて書いていたものです。国家の保護なんて,私に関する限り無かったですよ。あるのは一定期間で確実にクビになって次の就職先も決まらないという状況だけ。(中路)ウェブページに対するクレーム処理では,自分の就職先(学術方面)も決まらないのに,修士課程の母校で博士(理学)をとったお茶の水大を行政訴訟の対象にしました。(中略)国家(の出先機関である国立大学)が私を保護したことなどありませんでしたし,私にとっては交渉相手でした。トラブルを起こす人間を採用するところなどないかもしれないということを覚悟の上で,やるべきだと考えたからやったんです。」とコメントし,さらに,「我々には我々の利害があってやっていることです。(中略)まず,大学やそれに関わる人に対して情報を出せ社会貢献しろと要求してきているのは社会の側だという背景があります。工学部なら特許を出すとか産学協同で何かするといったやり方がありますが,理学部の場合は,そういう方向で研究することは少ないのです。それで,社会貢献の一貫として,正しい知識を世の中に提供するということを試みているのです。今の情報の出し方がベストだという保証はありませんが,一般の方々があるていど取っつきやすい形にし,かつ権威を利用した宣伝にもそれなりに対抗できるというものを,と考えた結果,今のウェブページになりました。(中略)次は,我々研究者の利害に直結する部分で,研究費の配分の問題です。お役所がテーマを限って配分する研究費が増えているんですけど,どういうテーマに出すかが,社会の状況で決まったりするんですね。とのとき,企業の宣伝でトンデモ水理論の方がメジャーになっていると「その効果を利用した開発」ってテーマが設定されかねないんですよ。まともな研究をしようと思ってる側にとっては困るんですね。だから,変な話は変だという情報も出しておく必要があります。(中略)もう1つは,トータルな社会
的コストを減らすということです。もともと,当サイトは「クラスターの小さい水はいい水だという話は嘘である」というととが出発点にあるんですけど(中略)このデマのおかげで,酒造メーカーも含めた
多数の水関係会社が,意味のないNM「分析をやって,試験コストを費やしました。試験コストそのものの無駄と,クラスター理論に振り回されなければ水成分の分析等のまともな研究が進んだかもしれないのに実際はそうならなかったことによる無駄は,それなりにあるんじゃないかと考えています。」とコメントした。(乙2の1・69ないし71頁)。さらに,原告は同日,上記吉岡のメールに関し,原告サイトの掲示板においてI安全な立場から中小企業を批判するのがけしからんという意見らしいがちょっと待て。私は任期付きでない職を得てから2か月しか経っていないのだが何か?指摘されたコメントは,ほとんど無職のときに公表したものだが何か?次の職も決まっていない状態でウェブでもめて大学(しかも母校)相手に行政訴訟までおっぱじめたのだが何か?(口頭弁論までいかずに和解契約成立したけどね)トラブルを起こす人聞を雇うととろなどないかもしれないというリスクを引き受けた上で将来を賭けてやってきた行動だが何か?国家
の保護って一体何のことよ?思い込みでメールを送りつけるのもたいがいにしろ!」とコメントした(甲2・73頁)。
f 原告は,原告サイトに対して企業からクレームが来たことを受けて,原告サイトの内容に違法性があるかどうかを弁護士に相談に行った(乙2の1・93頁)。
(イ)a まず,原告サイトによって企業の販売が妨害されていることが真実といえるかについて検討する。
前記前提事実及び上記認定事実によれば,原告サイトは,水関連の商品に対して科学的見地から原告の意見を述べることを目的としているのであり,また,原告サイトが国立大学のサイトであることからす
れば,一般人が原告サイトに記載された原告の意見は信用性が高いと考え,原告サイトで批判された商品を買い控える傾向が高まることについては否定できない。実際にも,原告サイトにおける原告の書き込みに対するクレームが複数社から届いていることからすれば,原告サイトの記載により企業の販売活動が事実上妨害されていたというととについては真実であると推認することができる。
b 次に,その妨害を原告が意図的に行っていることが真実といえるかについて検討する。
上記認定事実のとおり,原告は,原告サイトにおいて,複数の企業が取り扱っている磁気水機器の説明に対してコメントをしているが,そのコメントは,企業の説明に則り,会社が提示する実験結果等を基本的にそのまま認めた上で,科学的な説明がされているかどうかに主眼が置かれていることが認められる。そして,原告のコメントには,企業に対する揶揄的表現が含まれるものが存在することについては否
定できないものの,原告は「理由は不明だが効果がある,という製品は,効果の確認がしっかりできている」(乙2の1)のであれば,否定的なコメントの対象としていないのであって((1),イ,(イ),a,b),このような原告のコメントの在り方を総合して判断すると,原告の科学的見解からの意見をいうことが主目的であるといえ,当初から企業の販売活動を妨害するとの目的で行っていたということはできない。
また,上記認定事実のとおり,原告は,原告サイトの掲示板において「トラブルを起こす人間を雇うところなどないかもしれないというリスクを引き受けた上で将来を賭けてやってきた行動だが何か?」というコメントをしているが,この前後の文脈からすれば,原告の原告サイトにおける発言が,原告が安定的な雇用先を確保し,不安定な雇用状況を脱出することなどの私的利益の追求を目的としていると解するととはできない。
よって,原告が意図的に企業妨害を行っているということはできないから,これについては真実であるということはできない。
イ 次に,本件記載36に係る摘示事実(被告が不正に山形大学のホームページを利用しており,窃盗罪が成立する可能性があるとの事実)が真実といえるかにつき検討するに,これが真実であると認めるに足りる証拠はない。
(2) 被告らは,本件記載1ないし14,18ないし32及び36が真実といえなくても,真実であると信じた乙とについて相当性があると主張するので,この点について検討する。
ア 本件記載1ないし14,18ないし32に関し,被告吉岡が,原告が意図的に企業の販売活動の妨害を行っていることが真実と信じたことにつき相当の理由があるといえるかについて検討する。
この点につき,被告らは,原告が原告サイトにおいて,複数企業が原告に対しクレームを申し立てていることを認識しているにもかかわらず,原告サイトの運営を続行したととからすれば,被告吉岡が,原告が意図的に企業の販売活動の妨害を行っている乙とが真実と信じたことにつき相当の理由があると主張するが,原告サイトにおける原告の発言((1),イ,(ア))を見る限り,原告が科学者としての理念を追求するために原告サイトの運営を続行しようとしていると考えられるから,原告サイトに対するクレームが複数あったことのみを根拠に,原告が意図的に企業妨害を行っていることが真実と信じたことにつき相当の理由があるとは認められない。
イ また,本件記載36について,被告吉岡が,原告が山形大学のホームページを違法に利用し,窃盗罪が成立する可能性があることが真実と信じたことにつき相当の理由があるといえるかについて検討する。被告らは,別件訴訟における山形大学の答弁書の記載から一方的に推測しただけであり,事実関係を調査した形跡は認められないから,正当な理由があるとは認められない。
ウ よって,これらの点に関する被告らの主張には理由がない。
(3) 以上より,本件記載1ないし14,18ないし32,36を真実ということはできず,また被告吉岡が真実と信じたことについて相当性があるということはできないので,争点3)に関する被告らの主張には理由がない。
4 争点4)(真実性・相当性以外の違法性阻却事由の有無)について
被告らは,本件においては真実性・相当性以外の違法性阻苅l事由が存すると主張するので,この点について検討する。
(1) 違法性阻却事由2)(被害者の承諾)について
被告らは,原告白身がお茶の水女子大学に対しクレームを送ることを歓迎する旨のコメントを原告サイトにおいて記載しているのであるから,被害者の承諾があり,本件交付行為の違法性が阻却されると主張するので,乙の点について検討する。
この点,乙第2号証の1・108真によれば,原告が,原告サイトにおいて「大学にクレームを送ってくれることは歓迎する。ウェブページを充実させて情報公開しろという話は全学的にあったが,情報公開についてクレームがあった場合にどう処理するかという基準については,ほとんど何も決まっていないのが現状である。(中略)クレームが大学に送られた場合,大学は真面目に,どういう基準で情報を公開するかということを考え始めるはずだ。これはかなり大事なことだと私は考える。(中略)いずれにしても,具体的問題が発生するまでなかなか対処法を用意しないというのは,どこの組織にも共通の性質のようだ。対処法を作るためのトリガーが必要なので,クレームを送ってくれることはむしろありがたい。」とコメントしていることが認められる。
しかし,上記文言は,情報公開を促進するために適切なクレームの存在は有益であると述べているものにすぎず,そのクレームの中で原告の名誉を段損するような表現や侮辱に該当する表現をすることを受忍しているとまでいうことはできない。よって,上記文言を根拠に,本件交付行為の違法性が祖kyは区されるということはできない。
したがって,この点に関する被告らの主張には理由がない。
(2) 違法性阻却事由3)(言論の応酬の法理)について
被告らは,原告が本件表現行為に先立つて,種々の先行行為(被告吉岡が原告に対して送ったメールの公表及び同メールに対する揶揄・嘲笑,磁気活水器についての断定行為,体に良い水は存在しないとの断定行為,実在する会社の社名・商品名を挙げての一方的批判「水商売」という表現)を行っており,被告吉岡はそれに対応して各表現行為を行ったものであるから,やむを得ない行為であり,本件記載1ないし14,18ないし32及び36の違法性が阻却されると主張するので,この点について検討する。
一般に,まず相手方の批判ないし非難が先行し,その中に自分自身の名誉や自己の属する機関の正当な利援を侵害する事実の摘示が存し,これに対し,その名誉ないし正当な利益を擁護するために必要な範聞で,その方法及び内容において適当と認められる限度を逸脱しない限度でなされた反論は,それだけを切り離して考えると相手方の名誉権を侵害する言動を含んでいても,相手方の摘示した事実が真実であり,あるいは相手方において真実と信ずるにつき相当の理由がある場合を除いて,名誉鍛損又は不法行為とならないと解するのが相当である(最高裁昭和38年4月16日第三小法廷判決・民集17巻3号476頁参照)。
そこで,以下,本件について,上記の観点から,本件表現行為の違法性が阻却されるかにつき検討する。
ア 本件証拠(末尾に掲記する。)によれば,以下の事実が認められる。
(ア)原告は,原告サイトにおいて「磁気水へのコメントに対する批判と回答(2003/11/25)」という題名で,以下の記載をした。
「磁気水の効果を主張するメールが来た・・・と思ったら後半は,中小企業の宣伝を批判することはけしからんという内容だ、った。まあ,そういう立場もあると思うので,私は私の立場を説明して返事を出した。普段,こういうページをやりながら考えていることもいくつか書いたので,せっかくだからやりとりを公開する。なお,発信者が「健康と環境の神戸クラブ」「吉岡事務所代表」名義なので,完全に個人でもなさそうなので匿名にはしないことにする。」
原告は,上記文面の後に,被告吉岡が平成15年11月22日に原告に宛てたメール(以下「吉岡メール1」という。)を全文掲載した上で,原告の被告吉岡に対する回答の全文を掲載した。原告の同回答は,本件
吉岡メール1のまとまりごとにコメントを加えたものである。例えば,「消費者は,権威筋から誹誘中傷されるような製品は,買いません。わけのわからない議論ではあっても,とにかく権威筋がダメと言うものは買わないのです。」という吉岡メール1を引用した上で「権威筋がイイと言うと買いに走るわけですね。そっちの方がむしろ困ったものだと思います。」というコメントを加え「たとえば,あるメーカーのカタログの表現に対して天羽さんは「それよりも何よりも,高校の化学の教科書をちゃんと理解する乙とが先ではないだろうか」という居丈高な「つっこみ」を入れています。天羽さんは,国立大学の化学の教官
の肩書きを見せながら,その会社の技術陣の化学の知識は高校生以下である,というご託宣をインターネットという「マスメディア」で天下に告知しているわけです。」という吉岡メール1を引用した上で「だって事実ですから。科学技術立国の掛け声をかけておきながら,高校の化学の範囲で容易にわかる間違いが,インターネットという「マスメディア」で企業の宣伝中に出まくる現実の方が憂慮すべきことではないですか」等とコメントし「そこまで言つてなお「私は,製品の是非については何も言っていないのだ」という主張は,社会常識として通るものではないでしょう。それを読んだ消費者が,その製品を買い控えるのは当然です。」という吉岡メール1に対し「それは仕方ないでしょうね。ネット上の宣伝なんて,印刷媒体と違って手軽に後からいくらでも変更できます。印刷媒体であれば,一般向けということで,細かい情報まで書くのは宣伝として効率的ではないでしょうけど,ネットではいくらでも知りたい人に情報提供できます。それをふまえて宣伝方法を変えた企業が有利になることがあるかもしれません。」とコメン卜した。
(乙2の1・61頁ないし72頁)
(イ)原告は,原告サイトにおいて「吉岡氏とのやりとりー2(2003/12/09)」という題名で,以下の記載をした。
原告は,平成15年12月9日に被告吉岡が原告に宛てたメール(以下「吉岡メール2」という。)全文を原告サイトに記載し「これに対する返事は以下のとおり。(中路)なお,文中の磁化云々は,残留磁化のことで,水には磁場の効果を記憶するようなメカニズムがないということです。磁場をかけている間*だけ*なら,水には,とても小さな反磁性磁化率による磁化が現れます。」とのコメントを記載した上で,その回答文全文を記載した。具体的には以下のとおりである。
「全然関係ない人が横からwhyやhowについて突然文句を言ってきて,見たらそれが大学の先生だから,買いの手が引っ込んでしまう,という現象が,実際に起こっていることを指摘しています。」という吉岡メール2を引用して「はて・・・。私は科学的にまともな見解を示しただけであってわざわざ取引の現場に出向いていって何か言った覚えはありませんが,当方のサイトを見て購入をやめる人というのは,商品説明に納得できなかったからわざわざウェブにアクセスして検索しであれこれ調べた人ってことですよね。納得できれば即買いするでしょうし,疑問を持たなければそもそもウェブで調べようとはしないはず。」とコメントを加え,また「何がどれだけ入っているか,化学者は組成に非常に関心を持っているようですが「水分子の電気的な変化」は組成の変化で起こっているのではなく,どれだけ組成を調べても何も見つからないでしょう。組成に変化はなくても,物性には変化が起きている,ということです。」という吉嗣メール2を引用して「この主張が,現状の水に関する理解からすると,逸脱したものなのです。これまでのところ,組成を変えずに水の性質を変える乙とが可能だという実験的証拠は皆無です。ただし,同じ温度・圧力・体積の場合,という前提がありますが。ですから,組成を変えずに物性の変化が起きる,それが「起きているかもしれない温度変化」以上の効果であるということを主張するのであれば,追試可能なだけの実験の詳細と結果を公表して,今の水を記述する枠組みは間違っているという主張を行わないといけないです。」とコメントを加えた。さらに,原告は「統計調査の結果,ある特定の水で暮らす人々の間で疾病の発生率が低くなるという事実が判明すれば,それは「健康によい水がある」ことを意味します。「特定の水にミラクルな効果は期待できない」と断定できるだけのデータを,人類はまだ持っていません。天羽さんの主張は推測に過ぎません。」という吉岡メール2を引用して「で,ミラクルな効果がある,というデータもないわけですね。データを持たずに「ミラクルな効果がある」と主張して商品を販売するのは単なる詐欺ということになりますね。」とコメントを加え「今年のノーベル化学賞は,細胞には水だけを通す特殊なチャンネルがあることを発見した業績に授与されたようですが,そういうチャンネル構造があり得るならば,そこを通りやすい水分子の形というものも,あって良さそうです。」という吉岡メール2を引用して「そりゃ,水素結合がどうなっているかで,水分子の相互作用ポテンシャルは変わるでしょうから,この意味では形が変わるでしょうけど,分子の骨格の形が大きく変わることはなさそうですが・・・・。これまでの計算機実験で形が大きく変わった話は出てきていないのでそう考えています。」とコメントした。また「私は,第1には,天羽さんが公務員であることを問題にしています。」,「たとえば,現職の裁判官が,官職名を名乗った上で,ウェブサイトなどで特定の民間企業を,彼らが公開した宣伝を対象に先制攻撃で批判したら,それは社会的な公正を欠く行為だと私は思います。」という吉岡メール2を引用して「裁判官と大学の教官は役割が違いますよ。それに,いい加減な水理論が広まると研究者も迷惑しますし,余分な社会的コストも増えますから。私に文句を言う暇があったら,デタラメ振りまいてる企業に言ってやってくださいな。」,「研究者としては,科学的なl虚が世間に広まるのを食い止める必要がありますね。利害関係がありますから。ついでにいうと,ウェブによる文書の公開は出版と同じです。」とコメントした。さらに「天羽さんが,官職名を名乗らずに,自分のサイトで,自分の主張をされるなら,その行為には私は何も異論はありません。(内容には異論があるわけですが)天羽さんが,お茶の水女子大学の職員であるかのように振る舞って,お茶の水女子大学の公開サイトで,民間企業を先制攻撃していることを,社会的公正を欠く行為だと批判しているのです。」という吉岡メール2を引用して「見当違いの批判ですね。その「先制攻撃」とやらをしているのは,学問的に全く確立していなかったり,誤りだったりする宣伝内容を世の中に振りまく企業の方じゃないかと。#根拠がはっきりする
まで待てというのに・・・・。」とコメントした。
(乙2の1・72頁ないし82頁)
(ウ) 原告は,原告サイトにおいて「吉岡氏とのやりとりー3(2003/12/10)」と題し「磁場で水が変わると主張するのは勝手だけど,その主張が既存の実験事実をどれだけ広い範囲でひっくり返すものかということを少しは考えて欲しい。もしそれが本当なら,磁場の強い方ではこれまでに行われたNMRの(特に生化学関係の)実験は全滅,病院のMRIの検査に重大な副作用の可能性を意味することになるし,磁場がそんなに強くない方では,どこの研究室でも使っているマグネティックスターラーでかき混ぜた溶液を使った実験は全部信用ならないということになる。もちろん,こんなことを支持する実験結果は皆無である。だからこそ,磁場で水が変わるという主張には,研究者を軒並み有無を言わさず納得させるだけの決定的な証拠が必要なのだ。」と記載した上で,平成15年12月10日付けの,被告吉岡が原告に対して送信したメール(以下「吉岡メール3」という。)の全文を記載した。
その上で,原告は「たとえば,磁場を通っただけで,水の界面活性があがる,そのことは一応,実験によって計測されているわけですが,実生活では,たとえばその水を風呂に張ってそこに油まみれの換気扇をつけておくと油がみんなとれてぴかぴかになって,そのあと浴槽も,すっと拭えばきれいになる,という現象が起こっています。」という吉岡メール3を引用して「これが事実なら,飲料水には適さないだろうということが容易に推定されますね。人の細胞膜は「油」としての性質を持ちますので細胞膜を傷つける危険性がないことを証明してからでないと,とても怖くて飲めませんね。」とコメントし,また「興味がないのは,人それぞれですから,それでいいのですが,現象にはいちいち興味がないと言って,現象を見ようともせずに,カタログの片言隻語をあげつらうことはけっして科学的なway of lifeはありませ
ん。」という吉岡メール3を引用して「立証責任を果たさず、に,現代の科学知識とまったく相いれない話が宣伝を通して広まることは,我々にとって損害が生じるので,変な宣伝内容はどこからどう変か,現状の科学とどう矛盾するのか,立証は本当になされているのか,といった観点から,これからも指摘を続けます。ただし,私が指摘した内容について,実はそちらの発見が正しいということが,たとえば学術雑誌で査読を通って追試でも確認できて,という状態になれば,いつでもその論文を引用し,間違いを認めて訂正を行います。」とのコメントを加えた。
(乙2の1・82頁ないし86頁)
(エ) 原告は,原告サイトに「吉岡氏とのやりとり-4(2003/12/11,2003/12/31)」と題し「これまでに吉岡氏からのメールにはきちんとまじめに返事をしてきたんだけど,さすがに今日受け取ったメールを見て脱力したので,直接返事は出さないことにした。多分,お互い主張はほとんど出尽くしたし,これ以上議論しでも理解が深まることも妥協点が見いだされることもないと恩われるからだ。それに,今回吉岡氏の書いてきた内容はすでにサイエンスではなく,オカルトの世界に入りつつあるので,科学という視点で議論しでも無意味である。ただ,何もせずにこのまま放置すると,返事がこなかったことで論破に成功したという我田引水的認識をして別の宣伝をされても困るので,ウェブの方で突っ込みを入れて公表しておくことにする。」と記載した。
上記記載の後に,平成15年12月11日に被告吉岡が原告に対して送付したメール(以下「吉岡メール4」という。)を引用した上で,コメントを加えた。具体的には,以下のとおりである。(乙2の1)
a 人の細胞膜は油としての性質を持つので,細胞膜を傷つける危険性がないことを証明してからでないと飲料水として使用できないとの原告コメントに対する回答として)「ところが,猫はその水をピチャピチャといつまでも飲み,日毎に毛並みがよくなって元気になるのです。犬もです。天羽さんの知らなかったことが起きているのです。」との吉岡メール4を引用して「「ビチャピチャといつまでも飲み」なんて援昧な表現をされでも,そりゃ一体何だと思うわけで。猫の毛並みなんて,いろんな原因で良くなったり悪くなったりするでしょうね。本当に「その水」の効果だというためには,水以外の条件も押さえないといけないですね。ところが,これまで何回かやりとりした吉岡さんのメールでは「変化が起きました」という結果しか出てこないのね。私としては「吉岡さんの頭の中で起きている変化なんて知りません」としか答えようがない。だ、って,証拠が「古閑さんの主張」だけで,確認する手立てがないんですよね。他人を納得させるだけの証拠は一切出さないけど,主張する本人は,少なくとも自分は見たと認識していることを主張しているわけで,決して嘘は言っていない。何だか「私はUFOに連れ込まれて宇宙人に会いました」って言い張る人とあんまり変わらないような。」とコメントした。(乙2の1・86頁)
b 水の界面活性と熱伝導とPH値を調べるだけですけど。あと,できればマイナスイオン。」という吉岡メール4を引用し「だーかーら,測定装置と測定条件,測定手順を示せってばさ。測定した数値といっしょにね。通常の化学や物理の実験の論文でも,試料の前処理,測定条件,使った測定装置(製造元,型番)や実験プロトコルを記載するのが普通なんだが。物理や化学を学んだと主張しているくせに,こういう基本を全然出さないなんて,物理や化学の一体何を学んだのだか。」とコメントした。(乙2の1・87頁)
c 「(変化が起きている水分子が全体の何%かについて)1%以下だろうと思いますが・・・・検知できていないので分かりません。」という吉岡メール4を引用し「検知していないのに1%以下という目安がどこから来たのかが謎だが。それ以前に検知できていないのに水ー分子の形が変わるという主張しているあたり,幻でも見てるんじゃないだろうか。」とコメントした。(乙2の1・87頁)
d 「この水を飲み,この水で入浴していると,特に努力することなしに1年ごとに1才若返ります。しわやしみも消えていきます。そういう女性がたくさんいます。(男性もですが)」という吉岡メール4を引用し「じゃあ,この水で粉ミルクを作って赤ちゃんに飲ませたり,母親と一緒にこの水のお風呂に入浴させたりするのは絶対にやっちゃいけないことだな。赤ちゃんが1年に1才若返ったりしたら,ちっとも成長しない。」とコメントした。(乙2の1・87頁)
e 「恐竜時代には,植物も大型化していました。なぜ大きくなれたのか,水分子そのものが違っていたのではないか,そこには地磁気が関与していたのではないか,などと考えます。」という吉岡メール4を引用し「本気でそう思ってるんなら,水の磁気処理やめろYo。吉岡氏推薦の磁気処理装置を使ったために植物が大型化したり恐竜が出たりしたら,一体どうしてくれるんだ?そんな奇跡はイヤだ。」とコメントした。(乙2の1・87頁)
f 「磁気と水分子と生命現象・・・・・天羽さんには興味のないことでしょうが。」という吉岡メール4を引用し「興味はあるけど,オカルトとして興味を持ってるわけじゃない・・・・つつーか,公務員の立場だの大学の責任だの中小企業の営業云々を山ほど持ち出しておいて,結局オカルト系水理論を語りたかっただけかよ!」とコメントした。(乙2の1・87頁)
(オ) 原告は,原告サイトに「返事を出すつもりはなかったのだが,吉岡氏もこれを読んだらしくて,返事を送ってきたので,一応以下に掲載する。」と記載した上で,被告吉岡が原告に対し平成15年12月25日付けで送信したメール(以下「吉岡メール5」といい,吉岡メール1ないし4と併せて「吉岡メール」という。)及びそれについてコメントを加えたものを掲載した。その中で「私は,磁場を通った水は生物を巨大化するとは言っていません。大きくなるのか小さくなるのか何も起こらないのか,人類はまだそういう知識を持っていません。しかし,地磁気と水と生命活動の間には何か関連があるのかも知れない,という一例として,生物が巨大化した時代に思いを巡らしているわけです。(ホント言うと,ぜい肉はとれるみたいです)」という吉岡メール5を引用し,「ロマンチックですねえ仁-^)」とコメントした。(乙2の1・90頁)
(カ) 原告は,平成17年5月15日,原告サイトに以下のコメントをした。
「磁気についてですが,水(分子)そのものに対する効果は期待できないといっていいでしょう。水は鉄のように磁石に引きつけられたり磁石になったりする性質を持ちません。逆に,磁石から遠ざかったり(非
常に強い磁石を使うと見ることができます),磁気の影響を受けたことは磁気が取り除かれれば全くなくなってしまうという性質をもちます。学術用語では,これを反磁性体といいます。もし,業者が,水そのものに変化を及ぼすような説明をしたとしたら,その部分については「真っ赤な嘘」で「完全に騙されて」います。建物の配管の保護をするなら,建物全体に対して塩ビライニングをするか,酸素除去装置を取り付けるしか方法がありません。私ならとの2つのいずれかを選んで,磁気活水器は買いません。」(甲2・33頁)
(キ) 原告は,平成16年10月号「第三文明」において「水には「おいしい水」や「安全な水」はあっても,飲めば健康になるような特別な「体によい水」はありません。」と発言している(甲3の9)。
イ 検討
前記前提事実,前記認定事実及び上記認定事実によれば,原告が,水に付加価値をつけて売る商売のことを「水商売」と称していること,原告サイトにおいて水に付加価値を売っている企業の商品を取り上げた上でそれについてのコメントを加えていること,原告サイトに被告吉岡の氏名を実名で公表した上で,被告吉岡が原告に対して送ったメールを掲載したこと,その上で同メールに対してコメントを加えたことが認められる。
(ア) まず,原告サイトの中に被告らの名誉や被告吉河の属する機関の正当な利益を侵害する事実の摘示が存するか否かについて検討する。
この点,原告サイトにおいて,原告が水に付加価値をつけて売る職業のことを「水商売」と称しており,社会通念上,水に付加倒値をつけて売る職業のことを「水商売」とはいわないことからすれば,原告が水に付加価値をつけて売る職業全般を揶揄する意味で称しているといわざるを得ないし,吉岡メール4について「結局オカルト系水理論」と批判したことなど,原告サイトの記載の一部にはやや行き過ぎの点もみられないではない。
しかし,水に特別な付加価値があると称して販売する業者の説明には非科学的なものも多く,吉岡メールに対する原告のコメントは,一貫して,被告吉岡に対し,被告吉岡の主張するような効果が発生していることの客観的裏付けを求めているものであると乙ろ,吉岡メールを見ても,科学的な客観的裏付けをもって回答しているということはできない上,同業者の中には公正取引委員会から摘発される例もあること(前提事実(7))に照らすと,原告サイトの記載が被告らの「正当な利益」を害する
ものとはいえない。
(イ) 次に,本件記載が被告らの名誉ないし正当な利益を擁護するために必要な範囲で,その方法及び内容において適当と認められる限度を逸脱しない浪度でなされた反論であるか否かを検討する。
この点,仮に被告らに正当な利益があったとしても,本件記載は,原告サイトの科学的反論の内容に対する科学的根拠を示しつつされた反論ではなく,原告個人の人格を批判するものであって,その必要性は認められず,適当と認められる限度を逸脱したものというべきである。さらに,原告サイトの記載は平成15年11月及び12月ころに行われているのに対し,本件交付行為及び被告吉岡サイト掲載行為は,それから約2年が経過した平成17年10月及び11月に行われており,一連の言論の応酬とみるとともできない。
(ウ) 以上によれば,原告サイトの記載が先行していたとしても,本件表現行為は単なる言論の応酬の範聞を超えるものであるから,その違法性が阻却される乙とはない。
(3) 違法性阻却事由4)(対抗言論の法理)について
被告らは,被告吉岡は被告吉岡サイト上において原告に対する表現行為を行っているところ,原告被告吉岡ともに自己の管理するホームページを有している状況の下では,原告は自己の管理するホームページ上で被告吉岡の表現行為に対する反論を行わずに被告吉岡に対し法的制裁を加えることは許されないから,被告吉岡サイト掲載行為には違法性が存しないと主張するので,この点について検討する。
いわゆる対抗言論の法理とは,言論により毀損された名誉は言論により回復が可能であるから,被害者が加害者と同等のメディアにアクセスが可能であり,かつ,被害者に反論に係る負担を課しても衡平を失しないという事情が認められる場合において,両者のいずれの言い分が正当であるかは聴衆の判断に委ねることとして,違法性を否定する法理である。このような法理が認められるとしても,それが妥当するのは,第三者による判定が可能な意見ないし論評の表明による名誉毀損に限られ,かつ,議論の主題から逸脱した人格攻撃がされた場合には,乙の法理によって違法性を否定することはできないと考えられる。そうすると,事実摘示による名誉毀損であり,かつ,原告に対する人格攻撃がその内容の一部となっている本件記載について,対抗言論の法理を根拠として違法性を否定することはできない。
(4) 違法性阻却事由5)(公的存在の法理)について
被告らは,原告が本件表現行為の持点で公的存在になっていたから,その公的存在や活動に付随した範囲及び公的存在や活動に対する評価を下すに必要又は有益と認められる範囲では,一定の合理的限界内のものである限り,その私生活を報道・論評するととも許されるから,本件記載1ないし14,18ないし32及び36の違法性は阻却されると主張する。
しかしながら,被告らが主張するような上記事情が名誉毀損の違法性阻却事由となるとは認められない。そのような事情は,摘示事実が「公共の利害に関する事実」に当たるか否かの判断において,斟酌されるにすぎないというべきである。
よって,この点に関する被告らの主張には理由がない。
5 本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45は,原告の名誉感情を侵害するものといえるか(争点5))について
被告吉岡は,本件プリント版,本件書籍及び被告吉岡サイトにおいて,本件記載15ないし17を,被告吉岡サイトにおいて,本件記載33ないし35及び37ないし45を記載しているところ,原告は,本件記載15ないし17,33ないし35,37ないし45が原告の名誉感情を侵害し,不法行為が成立すると主張するので,この点について検討する。
(1) 民法710条,同法723条にいう名誉は,人がその人格的価値について社会から受ける客観的評価(社会的名誉)を指すものであって,人が自己の人格的価値について有する主観的な評価(名誉感情)は含まないものと解され,名誉感情の侵害は直ちに不法行為を構成するものとはいえない。しかし,名誉感情も法的保護に値する利益であり,社会通念上許される湿度を超える名誉感情の侵害は,人格権の侵害として,不法行為を構成するものと言うべきである。そして,当該名誉感情の侵害が,社会通念上許される限度を超えているか否かは,当該行為の目的及び態様,当該行為の公益性の有無,名誉感情の侵害の程度を総合考慮して判断すべきである。
(2)ア 本件記載15及び33について
甲第3号証の2,甲第5号証及び乙第1号証(本件書籍)によれば,被告吉岡は,本件記載15及び33の記載の前後で,平成15年11月及び12月とろの被告吉岡と原告とのメールでのやりとり(被告吉岡「全然関係ない人が横からwhyやhowについて突然文句を言ってきて,見たらそれが大学の先生だから,買いの手が引っ込んでしまう,という現象が,実際に起こっていることを指摘しています。」,天羽「はて・・・。私は科学的にまともな見解を示しただけであってわざわざ取引の現場に出向いていって何か言った覚えはありませんが,当方のサイトを見て購入をやめる人というのは,商品説明に納得できなかったからわざわざウェブにアクセスして検家しであれこれ調べた人ってことですよね。納得できれば即買いするでしょうし,疑問を持たなければそもそもウェブで調べようとはしないはず。」)を引用した上で「天羽優子氏は,本人が納得していないからインターネットを見るのだと決めつけている。(本件記載15又は33)実際は,実例で紹介したように,本人は納得していても,配偶者など身内が「水商売ウォッチング」を見て反対するというケースが多々あるのである。」と記載していることが認められる。そして,このようなやりとりの中で,本件記載15及び33は,原告には想像力がなく他者への思いやりがないとしたものであるが,上記認定事実からすれば,想像力がないとは,原告サイトを見る人は購買者本人だけではなく配偶者や身内がいることを見落としているとの批判であり,他者への思いやりがないとは,原告サイトによって被告らの企業活動に障害が生ずることへの配慮がないことを指すにすぎず,原告の人格的価値を侵害するものとまではいえない。
イ 本件記載16及び34について
被告吉岡は,原告がS管理サービスの担当者に対し送ったメール(I私はたまたま水について一般の人より科学的に正確な情報を知り得る立場におり,私がそういう立場にいるのは社会が支えてくれているのだから,知識を世の中に還元するという役割がある。」)を引用した上で「彼女の認識が根本から間違っているので,彼女の知識を垂れ流せば流すほど,世の中の害にしかならない。」(本件記載16及び34)と記載したものである。被告吉岡の上記行為は,前記のとおり,被告らの企業活動を守るためのものであって,公益性は認められない上,それによる名誉感情の侵害の程度も,学者である原告の能力及び業績を科学的根拠なく否定し,原告を「世の中の害にしかならない」とするものであるから,侵害の程度は著しいものであり,結局,社会通念上許される限度を超えるものとして不法行為が成立するものというべきである。
ウ 本件記載17及び35について
被告吉岡は「「水商売ウォッチング」の基調をなす非科学的な教義,全体にちりばめられた,非礼で無慈悲な悪口雑言の数々,幼稚でずさんな認識力,思考の硬直性と奥行きのなさ,などを見れば,彼女はもともと自然科学の探究には向いていないと思われる。そしておそらく教育職にも」(本件記載17及び35)と記載した。被告吉岡の行為に公益性が認められないことは上記のとおりである上,本件記載17及び35は,人格攻撃をするものであって,学者であり教育者である原告の人格的価値を全面的
に否定するものであるから,社会通念上許される限度を超えるものとして
不法行為が成立するものというべきである。
エ 本件記載37及び38について
被告吉岡は「彼女の傲慢で弛緩した精神のあり方が,科学の学徒として全然ダメなのである」(本件記載37),「彼女の傲慢で弛緩した精神のあり方が,大学の教員として全然ダメなのである」、(本件記載38)と
記載した。被告吉岡の行為に公益性が認められない乙とは前記のとおりである上,本件記載37及び38は,人格攻撃をするものであって,学者である原告の人格的価値を全面的に否定するものであるから,社会通念上許される限度を超えるものとして不法行為が成立するものというべきである。
オ 本件記載39ないし41について
甲第3号証の11によれば,被告吉岡は「山形大学理学部の天羽優子准教授が山形大学を訴えました」との表題の下で,原告が被告ネオガイア及び山形大学を相手方として訴えを提起したことを記載した上,複数の人物が書かれたイラストを掲載し,原告を示すとみられる人物の上に「黒板ふきのおばはん」(本件記載39)と記載し,被告ネオガイアを示すとみられる人物に対し,「100万円ちょうだい」と要求している様子を記載していることが認められる。次に,甲第3号証の12によれば,被告吉岡は「お茶女裁判その62008.02.05」の表題の下で,「1月30日に神戸地裁で裁判が開かれ,お茶の水女子大学教授の冨永氏
が突然,訴訟に参加してきた」,「お茶の水大の代理人の井口弁護士が,冨永教授の参加に驚いていた」,「冨永氏と大学は利害が対立するそうだ」,「天羽氏と冨永永氏も利害が対立するそうだ」,「今後は天羽氏が出てくる余地はまったくない。天羽氏は参加を取りやめるか,富永氏を訴えて参加するか,どちらかにすべきである。」と記載した上で,本件記載39とほぼ同ーのイラストを使用し,原告を示すとみられる人物の上に「黒板ふきのおばはん」(本件記載40)と記載したことが認められる。さらに,甲3号証の13及び弁論の全趣旨によれば,被告吉岡は,本件記載40のイラスト中の「怒る学長」,「無責任教授」及び「黒板ふきのおばはん」の3人の人物のイラストの上に,金魚のイラスト及び1本の波線を描いた上で「金魚のフン」(本件記載41)と記載したイラストも使用していたことが認められる(なお,甲第3号証の12及び弁論の全趣旨によれば,現在は上記イラスト及び文言の記載は削除されていることが認められる。)。
そうすると本件記載39ないし41は,原告を「黒板ふきのおばはん」と揶揄するものであって,原告の名誉感情を侵害するものではあるが,原告の人格的価値を著しく侵害するとまでは認められず,不法行為とはいえない。「金魚のフン」(本件記載41)についても,それは一般的には付き従って離れない様子の軽蔑的表現であるものの,直ちにこれが原告を揶揄するために記載されたものとみるととはできず,お茶の水大学を相手方として提起した訴訟に原告が参加人として介入することに被告吉岡が不快感を示したにすぎないものとみられるから,原告の人格的価値を著しく侵害するとまでは認められず,不法行為とはいえない。
カ 本件記載42について
甲第3号証の14によれば,被告吉岡は「科学者群像」の表題の下で,「天羽氏には「愛」の心がまったくない。そしてそれが,彼女の「科学者人生」が,どこへ流れて行っても,しょせんは不毛にならざるを得ない根本の理由である。」(本件記載42)と記載したととが認められる。原告の科学者人生をもって不毛とする点は,原告の名誉感情を侵害するかにも見えるが,科学者には愛の心が必要との被告吉岡の独自の見解が前提となっており,被告らの企業活動への配慮を求めているものとみられるにすぎないから,原告の人格的価値を著しく侵害するとまでは認められず,不法行為とはいえない。
キ 本件記載43及び44について
甲第3号証の15によれば,被告吉岡は「天羽氏が山形大学を訴えた裁判について解説2008.03.07」の表題の下,訴訟の経緯を説明し,原告についてí彼女は,自分より弱いと思われる零細企業をい
じめているだけの,たちの悪いインターネットオタクでしかない。」(本件記載43),「彼女は,山形大学の准教授として恥を天下にさらしている。」(本件記載44)と記載したことが認められる。被告吉岡の行為に公益性が認められないことは前記のとおりである上,本件記載43及び44は,人格攻撃をするものであって,学者である原告の人格的価値を否定するものであるから,社会通念上許される限度を超えるものとして不法行為が成立するものというべきである。
ク 本件記載45について
本件記載45は,原告に准教授の地位を与えている山形大学に向けられた言論であると認められるから,原告との関係で不法行為が成立すると認めることはできない。
(3) 以上より,本件記載16,17,34,35,37,38,43及び44により,原告の名誉感情は社会通念上許される限度を超えて侵害されているものであるから,これらの点に関する原告の主張には理由があるが,原告のその余の主張には理由がない。
6 肖像権侵害の成否(争点6))について
(1) 甲第2号証及び第3号証の9によれば,本件写真は「第三文明」において,原告が山形大学助教授としての立場で,水についての見解を述べている記事に掲載されたものであること,被告吉岡は「第三文明」に掲載された文章の一部(例えば「「体によい水」は存在しない?」という題名や,原告の氏名及び山形大学助教授としての肩書等)を本件写真とともに切り取った上で,本件プリント版,本件書籍及び被告吉岡サイトに転載していることが認められる。
(2) 人は,みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する(最高裁昭和44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁参照)。そして,自己の容ぼうを撮影されることと,自己の容ぼうが撮影された写真が公表されることとは別個の事柄なのであるが,人は,自己の容ぼうを「意思に反してみだりに公表されない」ことについても,法律上保護されるべき人格的利益を有しているものと解される(以下,これらの法的利益を併せて「肖像権」という。)。
しかし,本人の承諾を得ないで人の容ぼう等の写真の掲載する行為が正当な行為として許容されるべき場合もあるのであって,ある者の容ぼう等の写真を掲載することが不法行為法上違法となるかどうかは,被掲載者の社会的地位,掲載された被掲載者の活動内容,掲載の場所,掲載の目的,掲載の態様,掲載の必要性等を総合考慮して,被掲載者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁参照)。
(3) まず,本件写真転載行為について,原告の明示又は推定的承諾があったといえるか否かについて判断する。
人が写真等の公表を承諾するに際しては,誰に(どの出版社,雑誌社に)公表させるか,どのような目的,態様で公表させるか,対価の支払いがあるか否かが,重要な要素となるというべきである。本件においては,前記前提事実のとおり,原告は,第三文明社に対して,本件写真の撮影及び掲載を承諾しているものの,被告吉岡に対して本件写真を掲載することを承諾していないから,明示の承諾がないととは明らかである。また,第三文明社に対する承諾は,原告の見解を社会に明らかにする脊定的な意味で利用することについての承諾であって,かつ,対価を伴うものであるから,当該承諾をもって,対価を支払っていない第三者に対し,原告を批判する目的で使用することについて推定的承諾があったとみることはできない。
したがって,この点に関する被告らの主張は採用できない。
(4) 被告らは,原告が「第三文明」に本件写真の撮影及び掲載を承諾し,本件写真が一般に流布されたことからすれば被告吉岡が本件写真を転載したとしても,原告の肖像権を侵害したことにはならない,原告が国立大学の教員として国立大学の公式サイトにおいて民間企業を攻撃している以上,その姿形を国民に明らかにする義務があると主張するので,これらの点について検討する。
前認定のとおり,本件写真掲載行為当時,原告は,山形大学の準教授であり,公的な団体であるお茶の水大学のサイトで原告サイトを管理し,被告吉岡と体に良い水があるか否かを論争していた。そして,そのような原告の活動は,公的活動とはいえないまでも,公的活動に準じる活動であると言わざるを得ず,それに社会的関心が向けられることもやむを得ない面があることは否定できない。
しかしながら,原告と被告吉岡の論争の内容に照らすと,問題は科学的論拠であって,原告の容貌を明らかにする必要があったとは認め難い上,被告吉岡が本件写真を転載した目的は「科学者として非論理的であり無責任である。」(甲2の42頁)という批判をするとともに,批判の対象となった原告を社会にさらすためであると推認される。そして,前記のとおり,本件プリント版,本件書籍及び被告吉岡サイトにおいては,原告に対する名誉按損ないし侮辱に該当する本件記載がされており,本件写真もその一環として
原告を批判する目的で利用されているのであるから,本件写真転載行為は,原告の肖像権を著しく侵害するものであり,原告の受忍限度を超えているものである。
(5) 以上によれば,本件写真転載行為について原告の承諾があるということはできないし,本件写真転載行為は,受忍限度を超えて原告の肖像権を侵害したといわざるを得ないから,原告の主張には理由がある。
7 被告Kenkanko及び被告ネオガイアの会社法350条責任の成否(争点7))
(1) 被告Kenkankoの責任
ア 本件証拠(末尾に掲記する。)によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 被告Kenkankoの目的は,平成18年4月24日までは,1)衣料品,帽子,アクセサリーの製造・販売,2)書籍の出版,販売,3)健康食品,化粧品の販売,4)セミナーの開催,5)1)ないし4)に附帯する一切の業務であったが,同月25日以降,1)ないし5)に加え,磁気装置の製造,販売及び乙れに附帯する一切の業務が追加された(弁論の全趣旨)。
(イ) HECの所在地は被告Kenkankoと同一である(甲6の1,被告吉岡本人,弁論の全趣旨)。
(ウ) 平成18年1月にHECが消滅した(被告吉岡本人)。
イ 検討
前記前提事実のとおり,本件交付行為及び本件出版行為時は,被告吉岡は被告Kenkankoの取締役ではなかったし,他方,被告吉岡は,「健康と環境の神戸クラブ」の代表として本件プリント版及び本件書籍を交付及び出版しているととろ,その本人尋問において,本件交付行為及び本件出版行為は,被告Kenkankoの代表者としてではなく,HECの代表者として行ったものであると供述するので,この点について検討する。
被告吉岡は,その本人尋問において,被告Kenkankoは本件表現行為時には存在していなかったと供述し,また,乙第26号証(被告吉岡陳述書)においてHECのメンバーが所有していた会社の商号等を変更し,
被告Kenkankoを立ち上げたとの記載がある。また,弁論の全趣旨によれば,平成18年1月11日に,有限会社シルクカンパニーきらら(代表取締役岡野三重子)の商号を変更し,被告Kenkankoとなったこと,同日に岡野三重子が代表取締役を辞任し,被告吉岡が取締役に就任したことが認められるから,本件表現行為(ただし被告吉岡サイト掲載行為2は除く。)時に,被告吉岡が被告Kenkankoの取締役であったということはできない。なお,HECと被告Kenkankoの名称が酷似している上,所在地が同一であること,被告吉岡は,HECが消滅したのとほぼ同時期に被告Kenkankoの取締役に就任しているととからすれば,HECが被告Kenkankoと密接な関係にある組織であるととは窺えるものの,HECは単なる有志の集まりにすぎないから,被告吉岡の上記行為について被告Kenkankoが会社法350条の責任を負うということはできない。
また,既に述べたとおり,平成20年1月から2月にかけて,被告吉岡サイトに本件記載36,37,38,43及び44が記載され,乙れが原告の名誉権又は名誉感情を侵害していること,その当時被告吉岡は被告kenkankoの代表取締役に就任していたことが認められるが,被告吉岡が被告Kenkankoの職務遂行のために上記行為を行っていたことを認めるに足りる証拠はなく,また,上記行為が外形上被告Kenkankoの職務に属すると認めるに足りる証拠もない。
よって,被告Kenkankoが会社法350条の責任を負うとの原告の主張には理由がない。
(2) 被告ネオガイアの責任
ア まず,前記前提事実のとおり,本件交付行為及び本件書籍の作成・販売行為は「健康と環境の神戸クラブ」代表者の肩書きで,平成17年10月ころに行われたものであり,被告吉岡は,平成19年2月13日に被告ネオガイアの代表取締役に就任したことからすれば,上記各行為当時は被告吉岡は被告ネオガイア(当時は有限会社サニオン)の代表者ではなく,上記各行為が,被告吉岡が被告ネオガイアの代表者としてその職務遂行のために行った行為ということはできない。
イ 次に,被告吉岡サイトでの表現行為について検討する。
(ア) 本件証拠(末尾に掲記する。)によれば,以下の事実が認められる。
a 平成19年12月27日,被告吉岡は,被告ネオガイアのウェブサイトにおいて,被告ネオガイア代表取締役会長としての肩書で,本件交付行為に至る経緯,被告吉岡サイトで本件プリント版の全文を掲載している乙とを記載するとともに,被告吉岡サイトのアドレスを掲載した(申4)。
b 被告吉岡サイト上の「お茶の水女子大学への要求書インターネット版補遺」との表題の下に,「2007.10.27琵琶湖環境ビジネスメッセプレゼンテーション」という項目がある(甲3の1)。同項目においては,「2007年琵琶湖環境ビジネスメッセ出展者プレゼンテーション」,「2007年10月25日13:30-13:55マグローブ株式会社代表吉岡英介」,「演題磁気活水器マグローブその科学と効果」との表題の下で,本件製品の効果について記載されている(甲3の8)。
c 被告吉岡サイト上の「お茶の水女子大学への要求書インターネット版補遺」との表題には,平成19年12月27日時点で,平成17年12月20日から平成19年12月7日に至るまでの記事が掲載されている(甲3の1)。
(イ)前記前提事実及び上記認定事実によれば,被告吉岡が被告吉岡サイトに本件プリント版の全文を掲載し始めたのは平成17年11月ころである。そして,被告吉岡は平成19年2月13日に被告ネオガイアの代表取締役に就任したことかちすれば,少なくともそれ以前の被告吉岡の行為をもって,被告吉岡が被告ネオガイアの代表者の職務遂行として行った行為ということはできない。また,その後に被告吉岡が被告ネオガイアのウェブサイト上で本件交付行為の経緯や被告吉岡サイトのアドレスを掲載していることが認められるものの,上記の掲載自体が原告の権利を侵害するものであるということはできない。さらに,被告吉岡サイトに,被告吉岡が被告ネオガイア代表者として作成したプレゼンテーションが掲載されているが,その内容は本件製品の効果についてのものであり,あくまで本件製品の宣伝として掲載したものにすぎないから,これによって原告の権利が侵害されたということはできないし,被告ネオガイアが被告吉岡と共同して原告の権利を侵害したということはできない。
なお,被告吉岡サイトにおいて,平成20年1月から2月にかけて,本件記載37,38,43及び44が記載され,これが原告の名誉感情を侵害している乙とは既に述べたとおりであるが,被告吉岡が被告ネオガイアの代表取締役に就任した後において,被告古闘が被告ネオガイアの代表者として被告吉岡サイトの運営をしていたと認めるに足りないことからすれば,本件記載37,38,43及び44についても,被告吉岡が被告ネオガイアの代表者としてその職務遂行のために行った行為ということはできない。
以上より,被告吉岡が被告ネオガイアの代表者として本件表現行為及び本件写真転載行為を行ったというととはできないから,被告ネオガイアに対する原告の主張には理由がない。
8 争点8)(煩害額等)について
(1) 原告は,本件交付行為及び本件出版行為により250万円の損害を,被告吉岡サイト掲載行為により250万円の損害を,本件写真転載行為により100万円の損害を,弁護士費用として60万円の損害(合計660万円)を被ったと主張するので,この点について検討する。
(2) 1及び2で検討したとおり,本件記載1ないし14,18ないし32及び36は原告の社会的評価を低下させる記載であり,また,本件記載16,17,34,35,37,38,43及び44は原告の名誉感情を侵害する記
載であるというべきである。また,本件写真転載行為は,原告の肖像権を違法に侵害するものである。
(3) しかし,本件記載1ないし14,18ないし32及び36による原告の社会的評価の低下の程度は軽微なものであり,本件記載16,17,34,35,37,38,43及び44による原告の名誉感情の侵害については,名
誉感情という利益自体の法的保護の必要性はさほど高くないと考えられるし,本件写真転載行為による原告の肖像権侵害も,本件写真が既に数万部印刷されて一般に流布されているととからすれば,その程度は軽微であると認められる。他方で,原告サイトの記載によって被告らを含む企業の営業活動が妨害されている乙と自体は事実であり,被告吉岡としては,紡御的な意味で上企画行為に出たものと認められ,本件プリント版,本件書籍及び被告吉岡サイトの全体のうち,違法性が認められる部分は一部であって,大半の記載は適法な反論であることを考慮すれば,被告吉岡の行為に強度の違法性があるとまではいえない。
以上を総合的に考慮すると,原告が本件表現行為及び本件写真転載行為によって被った損害は50万円とするのが相当であり,その1割を弁護士費用とするのが相当であるから,原告の上記主張は,55万円の限度において理由がある。
9 争点9)(被告らは,本件記載部分及び本件写真を削除すべき義務を負うか)について
原告は,本件記載部分及び本件写真の公表により,名誉権,名誉感情及び肖像権が侵害され続けているととから,これを差し止める必要性は極めて高いと主張するので,この点について検討する。
一般に,人格的価値を侵害された者は,人格権に基づき,加害者に対し,現に行われている侵害行為を排除し,又は将来生ずべき侵害を予防するため,侵害行為の差止めを求めることができると解するのが相当である。どのような場合に侵害行為の差止めが認められるかは,侵害行為の対象となった人物の社会的地位や侵害行為の性質に留意しつつ,予想される侵害行為によって受ける被害者側の不利益と侵害行為を差し止めることによって受ける侵害者側の不利益とを比較衡量して決すべきである(最高裁平成14年9月24日第三小法廷判決)。
本件においては,本件記載1ないし14,18ないし32及び36によって原告の名誉が,本件記載16,17,34,35,37,38,43及び44によって原告の名誉感情が侵害されていること,本件写真転載行為によって原告の肖像権が侵害されていること,上記記載部分及び本件写真を削除しでも被告吉岡の原告の科学的意見自体に対する反論という目的を達成するととは十分に可能であることからすれば,上記掲示部分そを排除することによって受ける被告吉岡の不利援は非常に小さいものであるのに対し,原告が上記摘示部分を公表されることによって受ける侵害は看過できないものであるから,本件書籍から本件記載1ないし14,16,17の文言及び本件写真の削除を求め,被告吉岡サイトから本件記載18ないし32,34ないし38,43及び44の削除を求める限度において原告の請求には理由がある。
10 結論
以上のとおり,原告の被告吉岡に対する請求は,55万円及びとれに対する平成20年1月12日から年5分の割合による金員の支払を求め,本件書籍から本件記載1ないし14,16,17の文言及び本件写真の削除を求め,被告吉岡サイトから本件記載18ないし32,34ないし38,43及び44の文言の削除を求める限度において理由があるからこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第44部
裁判長裁判官 斉木敏文
裁判官 横井靖世
裁判官外山勝浩は,填補のため署名捺印するととができない。
裁判長裁判官 斉木敏文
別紙
書籍目録
題名 お茶の水女子大学への要求書「水は変わる」
著者 吉岡英介
発行所 健康と環境の神戸クラブ(HEC神戸)
発行年月日 平成17年11月初版発行
定価 税込2000円
別紙1
1)序文
「飲料水などを改良,改質する器具を販売している企業のホームページの文章を分析し,批判し,意図的にその販売を妨害することで(以下「本件記載1」という。)。いくつかの企業に対して経済的損失を与え,その名誉を毀損している。」
2)目次
「1ー7天羽優子氏は販売を妨害している(以下「本件記載2」という。)
15」
「1-10販売妨害は天羽優子氏の初めからの意図(以下「本件記載3」と
いう。) 23」
3)本件プリント版13頁,本件書籍16頁
「読者からメールをもらって「水商売な方」と呼ぶ,天羽優子氏の,社会人としての常識のなさに呆れるが,要するに「水商売ウォッチング」の目的は「怪しい科学と抱き合わせで」「販売が行われることが困る」「その一点につきる」のである。販売が行われでも,別に彼女が直接に「困る」こともないはずだから,「困る」とは「私は許さない」という意味である。だから彼女は「困らないように」行動する,つまり販売を妨害するわけだ。(以下「本件記載4」という。)そして,その科学が怪しいかどうかは,彼女が独断で一方的に決めるのである。一方で販売を妨害するつもりはないと言っておきながら,こういうところでうっかり本音をもらしてしまっている。
ここに,彼女が販売を妨害する意図を持っている(以下「本件記載5」という。)ととをはっきりと示す文章がある。」
「2)の部分を批判するだけだと言いながら,そんな製品は買うな,と言、っている。これが彼女の本音である。「水商売ウォッチング」が.販売妨害にまで突っ走っている(以下「本件記載6」という。)ことがはっきり分かる文章である。」
4)本件プリント版18頁,本件書籍23頁
「販売妨害は天羽優子氏の初めからの意図である」(以下「本件記載7」という。)
「天羽優子氏は水商売ウォッチングで,業者を恋意的に選び出し,その人々に無警告で先制攻撃をかけて販売を妨害している(以下「本件記載8」という。)。彼女はいろいろと建前を述べて煙幕を張つてはいるが,彼女の意図は初めから販売妨害にある(以下「本件記載9」という。)。
そもそも「水商売」という命名が,そのことを物語っているのだ。健康を考え環境を考えて,よりよい水を人々に届けたいと活動する人々を十把ひとからげにして,からかいの気持ちを込めて「水商売」と呼び,自らその監視役に任じ,自らのサイトに「水商売ウォッチング」と名を付けた,そのときから彼女の意図は,そのようなビジネスをしている人々に先制攻撃をかけて.そのビジネスを妨げようというものなのである(以下「本件記載10」という。)。」
5)本件プリント版36頁,本件書籍45頁
「「2)にツッコミを入れるが,3)は性善説で信じましょう。ビジネスは妨害しません」などという彼女の言葉は欺瞞である。「真っ赤な嘘」で「完全に婦されて」います,というのが彼女の本音であり,彼女はビジネスを妨害したいのである(以下「本件記載11」という。)。
水は不変だ,という自分の勝手な思いこみに立脚し,さまざまな知識をひけらかし,水についてのビジネスを「水商売」と蔑称し,それに携わる人々をうそつき呼ばわりし,そのビジネスをつぶしてしまえ,というのが「水商売ウォッチング」の本性である(以下「本件記載12」という。)。」
6)本件プリント版58頁,本件書籍78頁
「彼女は,お茶の水女子大学を利用して企業の販売活動を妨害し(以下「本件記載13」という。),自分に対する批判は桐喝で押さえつけ,傍若無人の振る舞いをしてきた。それらの行動はすべて,彼女の「将来を賭けた」行動,すなわち彼女の個人的な欲求を満たすための行動だったのである(以下「本件記載14」
という。)。」
7)本件プリント版16頁,本件書籍19頁
「彼女の言動を見ていると,彼女には想像力というものがほとんどないようで.想像力がなければ他人への思いやりも生まれようがないわけだが(以下「本件記載15」という。)。」」
8)本件プリント絞36頁,本件書籍45頁
「彼女の認識が根本から間違っているので,彼女の知識を垂れ流せば流すほど.世の害にしかならない。(以下「本件記載16」という。)」
9)本件プリント板及び本件書籍66頁
「「水商売ウォッチング」の基調をなす非科学的な教義,全体にちりばめられた,非礼で無慈悲な悪口雑言の数々.幼稚でずさんな認識力,思考の硬直性と奥行きのなさ,などを見れば彼女はもともと自然科学の探究には向いていないと思われる。そしておそらく教育職にも。」(以下「本件記載17」という。)
別紙2
1)http://www.minusionwater.com/
「1-7天沼優子氏は販売を妨害している(以下「本件記載18」という。)」
「1-10販売妨害は天羽優子氏の初めからの意図(以下f本件記載19」という。)」
「飲料水などを改良,改質する器具を販売している企業のホームページの文章を分析し,批判し,意図的にその販売を妨害する乙とで(以下「本件記載20」という。),いくつかの企業に対して経済的損失を与え,その名巻を毀損している。」
2)http://www.minusionwater.com/1shou789.htm
「読者からメールをもらって「水商売な方」と呼ぶ,天羽優子氏の,社会人としての常識のなさに呆れるが,要するに「水商売ウォッチング」の目的は「怪しい科学と抱き合わせで」「販売が行われることが困る」「その一点につきる」のである。
販売が行われでも,7」i」に彼女が直接に「図る」とともないはずだから「困る」とは「私は許さない」という意味である。だから彼女は「困らないように」行動する,つまり販売を妨害するわけだ(以下「本件記載21」という。)。そして,その科学が怪しいかどうかは,彼女が独断で一方的に決めるのである。一方で販売を妨害するつもりはないと言っておきながら,こういうところでうっかり本音をもらしてしまっている。
ここに,彼女が販売を妨害する意図を持っている(以下「本件記載22」という。)ことをはっきりと示す文章がある。」
「2)の部分を批判するだけだと言いながら,そんな製品は買うな,と言っている。これが彼女の本音である。「水商売ウォッチング」が.販売妨害にまで突っ走っている(以下「本件記載23」という。)ことがはっきり分かる文章である。」
3)http://www.minusionwater.com/112.htm
「販売妨害は天羽優子氏の初めからの意図である」(以下「本件記載24」という。)
「天羽優子氏は水商売ウォッチングで,業者を~意的に選び出し,その人々に無警告で先制攻撃をかけて販売を妨害している(以下「本件記載25」という。)。彼女はいろいろと建前を述べて煙幕を張ってはいるが,彼女の意図は初めから販売妨害にある(以下「本件記載26」という。)。
そもそも「水商売」という命名が,そのことを物語っているのだ。健康を考え環境を考えて,よりよい水を人々に届けたいと活動する人々を十把ひとからげにして,からかいの気持ちを込めて「水商売」と呼び,自らその監視役に任じ,自らのサイトに「水商売ウォッチング」と名付けた,そのときから彼女の意図は,そのようなどジネスをしている人々に先制攻撃をかけて,そのビジネスを妨げようというものなのである(以下「本件記載27」という。)。」
4)http://www.minusionwater.com/2shou456.htm
「「2)にツッコミを入れるが,3)は性善説で信じましょう。ビジネスは妨害しません」などという彼女の言葉は欺瞞である。「真っ赤な嘘」で「完全に婦されて」います,というのが彼女の本音であり,彼女はビジネスを妨害したいのである(以下「本件記載28」という。)。
水は不変だ,という自分の勝手な思いこみに立脚し,さまざまな知識をひけらかし,水についてのビジネスを「水商売」と蔑称し,それに携わる人々をうそつき呼ば」わりし,そのビジネスをつぶしてしまえ噌というのが「水商売ウォッチング」の本性である(以下「本件記載29」という。)。」
5)http://www.minusionwater.com/34.htm
「彼女は,お茶の水女子大学を利用して企業の販売活動を妨害し(以下「本件記載30」という。),自分に対する批判は伺喝で押さえつけ,傍若無人の振る舞いをしてきた。それらの行動はすべて,彼女の「将来を賭けた」行動,すなわち彼女の個人的な欲求を満たすための行動だったのである(以下「本件記載31」
という。)」」
6)http://www.minusionwater.com/hihan11.htm
「一方「水商売ウォッチング」では,町で見かけた看板からウェブサイトをたどり,それを読んだだけで「日本医泉療術院」において,あたかも悪徳商法が行われているように決めつけ,噸笑した。その結果「日本医泉療術院」で顧客の減少などの実容が発生している可能性がある。(もともと,客を減らすととが目的の書込みである(以下「本件記載32」という。))」
7)http://www.minusionwater.com/1shou789.htm
「天羽優子氏は,本人が納得していないからインターネットを見るのだと決めつけている。彼女の言動を見ていると,彼女には想像力というものがほとんどないようで,想像力がなければ他人への思いやりも生まれようがないわけだが(以下「本件記載33」という。),実際には,実例で紹介したように,本人は納得していても,配偶者など身内が「水商売ウォッチング」を見て反対するというケースが多々あるのである。」
8)http://www.minusionwater.com/2shou456.htm
「1-3で彼女は
天羽 私はたまたま水について一般の人より科学的に正確な情報を知りうる立場におり,私がそういう立場にいるのは社会が支えてくれているのだから,知識を世の中に還元するという役割がある。
と,頼まれもしないのに勝手な役割を自分に割り振っているが,彼女の認識が根本から間違っているので,彼女の知識を垂れ流せば流すほど,世の害にしかならない(以下「本件記載34」という。)。」
9)http://www.minusionwater.com/2shou101112.htm
「「水商売ウォッチングlの基調をなす非科学的な教義.全体にちりばめられた,非礼で無慈悲な悪口雑言の数々,幼稚でずさんな認識力,思考の硬直性と奥行きのなさ,などを見れば.彼女はもともと自然科学の探究には向いていないと思われる。そしておそらく教育職にも(以下「本件記載35」という。)。」
10)http://www.minllsionwater.com/yamagatasaiban.htm
「山形大学は,国立大学として国家の税金を使っているのだから,金の使途を国民に明確にする義務がある。当大学にはそんなサイトはない,と大学当局が裁判所で明言する以上,そのサイトの費用が山形大学から支払われているとしたら,勝手にそのような仕掛けをした者を窃盗罪で告発する義務が,大学当局にはある。そして国立大学法人山形大学は,そのような犯罪行為をした者(以下「本件記載36」という。)を正しく処分する義務が,国民に対してある。」
11)平成20年1月8日(http://www.minusionwater.com/ohmynews/index.htm)
「あり得るかも知れない物理的事象を,過去の自分の狭い学習だけで全否定して平気な,そういう彼女の倣慢で弛緩した精神のあり方が.科学の学徒として全然ダメなのである(以下「本件記載37」という。)。
多くの人々がその効果安感知し,それを製造し,販売し,それを使用しているという,社会の活動のすべて(これこそ集合知というべきものである)を,過去の自分の狭い学習だけで全否定して平気な,そういう彼女の傲慢で弛緩した精神のあり方が,大学の教員として全然ダメなのである(以下「本件記載38」という。)。」
12)平成20年1月8日(http://www.minusionwater.com/stainless3.htm
「黒板ふきのおばはん(以下「本件記載39」という。)」
13)平成20年2月5日(http://www.minllsionwater.com/ochajudgement7.htm)
「黒板ふきのおばはん(以下「本件記載40」という。)」
「金魚のふん(以下「本件記載41」という。)」
14)平成20年2月5日(http://www.minllsionwater.com/kagakushagunzou.htm)
「山形大学準教授の天羽氏を,これらのサイエンテイストたちと比べるのは,これらのサイエンテイストたちにとってあまりにも失礼だが,天羽氏には「愛」の心がまったくない。そしてそれが.彼女の「科学者人生」がどこへ流れて行っても,しょせんは不毛にならざるを得ない根本の理由である。」(以下「本件記載42」という。)
15)平成20年3月7日(http://www.minusionwater.com/yamagalasaiban.htm)
「彼女は.自分より弱いと思われる零細企業をいじめているだけの.たちの
悪いインターネットオタクでしかない。」(以下「本件記載43」という。)
「彼女は,山形大学の準教授として恥を天下にさらしている(以下「本件記載44」という。)
その恥は,山形大学のものでもある(以下「本件記載45」という。)。」
これは正本である。
平成22年6月24日
東京地方裁判所民事第44部
裁判所書記官 稗田俊彦