答弁書

平成20年(ワ)第5号 損害賠償請求事件
原告 天羽優子
被告 吉岡英介 外2名

答弁書

平成20年2月1日

東京地方裁判所 民事第44部合C係 御中

〒604-8161(送達場所)
京都市中京区烏丸通三条下ル
大同生命京都ビル8階 烏丸法律事務所
電話 075-223-2714
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被告ら訴訟代理人弁護士 小野誠之
同 弁護士 高橋 みどり
同 弁護士 野澤 健

第1 移送の甲立
 本訴は,神戸地方裁判所へ移送するように求める。

理由
1. 本訴請求は,東京地方裁判所には裁判管轄はない。原告は,被告吉岡は平成17年10月頃に本件書籍をお茶の水女子大学に持参・提出したとの事実が本訴請求中の一つの不法行為であるとして,その不法行為地を基準として,東京地方裁判所に管轄があるとしている(「管轄に関する上申書」平成20年1月1日付)
2. 本件書籍とは,甲2を指すものであるところ,同書籍は2005(平成17)年11月,神戸市において出版発行されたものである。同書籍末尾記載のとおりである。
 平成17年10月に被告吉岡がお茶の水女子大学を訪問して,交付した文書は、発行以前の原本プリント版の文書である。
3. 名誉毀損の要件としては,不特定または多数人に対して表現行為がなされることが必要であるところ,本件書籍の内容が名誉毀損に当たるとする本訴請求については,その発行・販売行為すなわち出版をもって名誉毀損行為となるものというべきである。
 新聞記事の掲載もその新聞が発行されたときに,一般読者が閲読しうる状態になるとのことで,発行をもって不法行為が成立するとの判例(最判平成9年5月27日)基準に従って,本件書籍を問題とするならぱ,同書籍が出版された行為が不法行為となる。
 すなわち,プリント版の持参・提出という事実をもって,ただちに不法行為地とすることは誤りである。不法行為地として,本件書籍の出版がされた神戸ということにたる。
4. なお,原告が請求する金銭賠償にっいても,「本件書籍が,発行され販売され続けていることにより,原告の名誉権およぴ名誉感情が侵害され,多大な精神的苦痛を被っている」との主張からも,不法行為としては,木件書籍の出版行為を捉えていることが明らかである。
5. 不法行為地の如何という理由以外に東京地方裁判所を管轄とする理由は存在しない。よって,民事訴訟法16条により,木件は東京地方裁判所ではなく,被告等の住所地であり,また,主張にかかる不法行為地である神戸を管轄する神戸地方裁判所に移送する決定をもとめる。
6. 仮に,プリント版の持参・提出行為をもって不法行為の一部となりうるとの議論があり得るとしても,原告の主張する不法行為の実質が本件書籍の出版にあることは明かである。さらに、ウェブサイトヘの掲載についても,ウェブサイトヘの掲載行為もまた神戸であるから,不法行為地として東京が基準であるとの原告の意見は適切ではない。
7. また,被告等3名の住所地はいずれも神戸である。原告住所地は山形県となっている。
 そして,被告吉岡以外の2者に対する原告の主張する不法行為とは,その関与しているとされる事情が薄く,それ自体の不法行為の成立は主張自体において疑わし。
 すなわち,本書籍の著者は被告吉岡である。法人たる被告法人2者はその出版に責任は負っていない。また,ウェブサイトも同被告個人の行為であって法人を被告とする理由はない。被告有限会社健康と環境の神戸クラブは平成18年1月から被告吉岡が代表となって,商号も現在の通り変更したうえ,運営されている法人であって,本件書籍の出版当時は法人としての関係は全くない。また,被告マグローブについても,平成19年2月に現在のように商号変更した会社である。そして,被告吉岡がその肩書きとして代表者として,その会社名を使っている事情以外に本件書籍の出版,あるいは本件ウェブサイトの掲載行為に直接の関係する行為はない。
 以.上のとおり,本件での被告法人2名の訴訟上の主張からすれぱ,あえて管轄を東京とすることによる被告らが負う負担は言われ無きものとなる。
8. さらに,本件書籍あるいは本件ウェブ上の,原告,被告吉岡間の言論のやりとりは,もとは,お茶の水女子大学のサーバにおいて,原告が作っていたサイト上の表現をもとにしたものであるところ,すでに,お茶の水女子大学との間において被告との裁判が神戸地方裁判所に係属している(神戸地方裁判所平成19年(ワ)第1493号)。原告は,同事件に独立当事者参加をおこなっている(同平成19年(ワ)第2355号)。独立参加とは原告としての訴訟介人にほかならない。原告は本件被告に向けて「水商売ウォッチング」の正当性を主張しているのである。
 このサイトに対する批判が本件書籍であり,また本件サイトである。
 即ち,原告はすでに本訴請求と裏腹をなす原告みずからのサイトの正当性の主張を神戸地方裁判所でおこなっている。
9. 以上の諸事情からみて,仮に,本件書籍のプリント版を提出した行為が不法行為となると見うる余地があったとしても,客観的・主観的な訴訟経済の観点から,神戸地方裁判所に移送するのが相当である。よって,民事訴訟法17条を予備的に援用する。

第2 請求の趣旨に対する答弁
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。

第3 請求の原因に対する答弁
1. 当事者について
(1)原告の現在の役職は不知。
 また,サイトの内容は企業や商品への中傷,販売妨害をも行っているものであり,「理論的正確性を検証」することを主たる内容とするものではない。
(2)マグローブ株式会社が正しい。
(3)会員組織で販売を展開しているものであるが,一口に「MLMという商法」と表現することにっいては認否を保留する。
(4)現在の地位として認める。
2. 被告吉岡の責任
(1)お茶の水女子大学に提出したのは,本件書籍ではなく,その原版プリント版である。提出したのは平成17年10月である。
 本件書籍の出版・販売は平成17年11月からであり,神戸で発行されたものである。
 本件書籍からの引用部分①ないし⑥の記載はすべて認める。
 これらの記載が「名誉毀損にあたる」との主張は争う。
 なお,原告の「水商売ウォッチング」のトップペイジの記載部分(訴状7頁1ないし9行)は,後日の追加記載であり,本件書籍の発行以後のことであることを付言する。
 「侮辱」にかかるとしてあげる本書籍からの引用部分の記載があることは認める。
 これらの記載が「社会生活上是認できる程度を超えて原告の名誉感情を侵害するものであり,違法」との主張は争う。
 さらに,原告の顔写真がのっていた「第三文明」の雑誌記裁を本件書籍に原告に無断転載したことは認める。これが、肖像権侵害に当たるとの主張は争う。
(2)被告吉岡がウェブサイトを主張のとおり開設し,引用にかかる記載①ないし⑥をしていることは認める。
 このサイトは被告とされた2法人とは法的になんら関係するものではない。
 「健康と環境の神戸クラブ」も被告法人とは関係のない,被告吉岡の任意のクラブを表現したものである。同法人は平成18年になって,同商号に変更されたものである。
 これら記載が名誉毀損になるとの主張は争う。
 「侮辱」として引用する記載①ないし③は認める。これらが,違法に原告の名誉感情を侵害するとの主張は争う。
 同じく,原告の顔写真の載った画像をウェブサイトに載せていることは認める。肖像権侵害との主張は争う。(3)損害の発生主張は争う。
3. 被告クラプの責任
(1)(2)
 本件書籍あるいは本件ウェブ上の記載が,結果として,被告クラブの利益になるものであるとしても,その目的は原告の言論を批判することにあり,その行為は被告吉岡の行為であることにかわりない。「外形上,被告クラブの職務」「その職務を行うについて」との主張は争う。被告クラブが本訴請求にかかる内容の義務を負う余地はない。
4. 被告マグローブの責任
(1)(2)
 本件書籍が発行されたのは平成17年11月である。著者は被告吉岡である。被告マグローブは平成19年2月に商号変更し被告吉岡はその取締役となった。被告マグローブが本訴請求にかかる内容の義務を負担する余地はない。
5. 削除義務
 原告寸ミ張の名誉毀損,名誉感情侵害,肖像権侵害は成立しない。すなわち削除義務は存在しない,
6. 結論
 本訴請求はいずれも理由がなく,すべて棄却すべきである。

以上

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