平成19年(ワ)第1493号 損害賠償等請求事件
原告 吉岡英介
被告 国立大学法人お茶の水女子大学
原告第5準備書面
平成20年12月19日
神戸地方裁判所第6民事部合議係御中
原告訴訟代理人弁護士 藤原唯人
第1 書き込みAの不法行為性について
1 名誉棄損であること
本件の書き込みAは、原告の名誉を棄損するものであることは、平成20年3月12日付原告第3準備書面で詳述したとおりである。
以下、証拠調べであらわれた事実をふまえて、主張を補充する。
(1)原告の特定性について
まず、本件書き込みAの対象となっている者が、原告であることは問題がない。証拠調べの結果、書き込みAを実際に書き込んだと証言する参加人天羽も、原告を意識してこの書き込みをしたと証言している(参加人天羽調書p8)。
また、この書き込みAよりも、ツリーの上位に位置する書き込みにおいて、原告の実名が挙げられずとも、「Y氏」や「健康と環境の・・クラブの・・氏」といった語により、原告のことが特定されている(甲第5号証3枚目、甲第21号証2枚目参加人天羽調書p9-10)。そして、これらの書き込みは参加人天羽ですらまったく素性を知らない人物(ハンドルネーム「XOO」「WOXX」といった者)によってなされたものであり(参加人天羽調書p9-10)、こうした見ず知らずの者らの間で、原告のことが共通認識とされていたことを考え合わせれぱ、書き込みAにおいて原告のことが話題になっているという特定性において、問題はないと評価できる。
(2)「悪マニさん」云々について
i 「悪マニ」とは、「悪徳商法マニアックス」というサイト名称の略語であることが想起できることは、原告第3準備書面p2-3で指摘したとおりである。参加人天羽においても、「悪マニ」とは同サイトの意味で書き込んだ旨の証言をしている(参加人天羽調書p9)。
そして、「悪徳商法マニアックス」というサイトは、トップページにおいて「日本初!悪徳商法総合情報紹介ぺ一ジ 〜騙すなら、素敵にだまして」と記し、「このぺ』一・ジは、悪徳商法についての具体的な知識・事例・対策の収集・分類を目的としています。日本で最大の、アングラサイトです。」と記載し(甲第6号証)、背景画像に「悪徳商法」と斜め書きした画像を多数配置している(甲第27号証)。
こうした記載に鑑みれば、同サイトは端的に「悪徳商法」の事例等を集めたものと考えるのが素直な読み方であり、とすれば、「悪マニさんとこのネタになる」とは、「悪徳商法を行う蓋然性が高い」ということを指摘したものと考えるのが、社会通念に合致する日本語の読み方である。
そして、このフレーズを読んだ第三者も、その意味を「悪徳商法を行う蓋然性が高い」という具合に解するものである。
そして「悪徳商法」の国語的意味はいくつか考えられるが、少なくとも悪徳商法マニアックスで想定されるそれは、トップページにおける「騙すなら、素敵にだまして」というフレーズから、顧客を騙す商売であることが意識されていることが、読み取れる。
ii この点、参加人らから「悪徳商法マニアッグス」での話題は広範であるため、ここで取り上げられること指摘することは「悪徳商法を行う蓋然性が高い」という評価にはならないという旨の反論が考えられる。
しかし、同サイトの名称やトップページの文言に鑑みれば、一般人の感覚としては、文字通り「悪徳商法」についての「具体的な知識・事例・対策の収集・分類」を目的とするものと銘打たれている以上、ここで採り上げられることは、「悪徳商法」をするものだという評価に至るものである。
よって、書き込みAにおいて、原告が悪徳商法を行う蓋然性が高いと指摘されているものと評価できる。
iii また、参加人らから、書き込みAにおいては、同サイトで話題になる予想を指摘するにとどまり、「悪徳商法」をする蓋然性を指摘する意図はなかったという旨の反論も考えうる(参加人冨永調書p4、参加人天羽調書p6等参照)。
しかし、本件書き込みAの日本語を素直に読めば、上記のとおり原告が悪徳商法をするであろうという蓋然性を指摘するものであり、このような反論は論弁にすぎない。
そもそも、参加人らの本件証拠調べにおける証言に信用性が低く、その弁明は採ることができないことは、後述する(後記p9)。
iv この点、参加人冨永は、原告のビジネスは「悪徳商法」と評価するべき代物であるという主張を前提として、それゆえに「悪マニさんとこのネタになる」という記述も、社会的評価を下げず、あるいは真実の記述であって違法性阻却されるものであると主張する(平成20年3月17日付準備書面1P3、参加人冨永調書P8)。すなわち、原告のビジネスに悪徳商法であるという評価を加えた上で、これを悪徳商法と呼んで何が悪いというわけである。
しかし、参加人冨永がいうところの「悪徳商法」の定義は、フリー百科事典のWikipediaから引用してきたり(つまり誰でも自由に定義付けをできるものである)、「科学的根拠、あるいは客観的な根拠に基づかないで商品を売るということ」だと、国語的意味からかけ離れた独自の定義を挙げたりと(参加人冨永調書p12)、主観的(客観性を欠き)かつ根拠に乏しいものである。
また、原告がかつて携わっていたダイポールが公正取引委員会から排除命令を受けたという事実が存するがために、原告の現在のビジネスを「悪徳商法」と呼ぶに値するという主張もあるが、暴論である。
両者では、商材も異なれば、宣伝方法も異なるものであり(原告調書p34-35、44)、ダイポールが排除命令(宣伝文句が問題になる景表法に関するものである)を受けたからといって、なぜ原告のビジネスが「悪徳商法」になるのか論理的なつながりはない。そもそも、排除命令を受けたから「悪徳商法」と呼べるといった主張は、名だたる企業が多く排除命令を受けている昨今(公知の事実)、これらすべてが軒並み「悪徳商法」であるという、杜会通念に合致しない結論を招くことになる。
つまるところ、この参加人冨永の主張は、原告吉岡英介という人間が行うビジネスだから「悪徳商法」であるという、属人的な評価であり、偏見をもとにした主張に過ぎないわけである。
iv 他方で、原告の商品の販売方法を虚心坦懐にみれぱ、およそこれを「悪徳商法」と呼ぶことはできないものである。
水に磁力を与えると、分子レベルで一定の変化が生じているとの説に基づき(具体的にいかなる変化が生じているかは、原告はこれを分からないと明言している原告調書p2)、原告は商品を販売しているものである。磁力が水に影響を与え得るかは、諸説がある分野であり(平成20年5月17日付原告第4準備書面p3甲第40号証)、原告も反対意見があることを了解している(原告調書p13)。その上で、商品の効果を実感してくれた顧客にのみ販売しようという姿勢を採っているわけである(同p15)。そのため、顧客が検証を行えるよう、法で要求されるよりも長い3ヶ月間のクーリングオフ期間を独自に設けている(同p9)。他方で、科学的なバックボーンが気になる顧客については、データを示し、顧客の判断に任せているものである(同p15-16)。
そして、そのセールスポイントとするところも、風呂が気持ちよくなる、料理やコーヒーが美味しくなるといったきわめて素朴なものである(原告調書p46)。また、呼びかけに応じて体験談を寄せる人がおり(甲第43号証原告調書p13)、本件の傍聴に訪れる人がいるものである(原告調書p13)。他方で、効果がないという声は寄せられていない(参加人天羽調書p11)
こうした点に鑑みれば、ことさらに原告のビジネスを「悪徳商法」であると決めつけるべき根拠に乏しく、参加人冨永の主張に首肯することはできない。
v なお、参加人冨永は、原告が、磁力によって水のクラスターに変化が生じることを前提にビジネスをしており、それに根拠がないと主張するものと思われる。
しかし、原告はまったく水のクラスターに変化が生じるといった主張はしていない(原告調書p28)。特許明細書に類似する記載があるが、商売においてこの文言を用いているわけではない。
また、参加人らは実験の結果、原告の商材であるマグローブを通した水道水に、効用がないことを確認したと主張している(丁第1号証)。しかし、この実験結果によって、参加人らが主張したいのは、水のクラスターに変化がない、表面張力に変化がないということが分かったということだけである。この実験の当否はさておき、原告のビジネスは、磁気によってこれらの変化が生じるという主張を前提とはしていない点、この実験結果に基づく主張は的外れなものである。
vi 以上より、書き込みAは原告が悪徳商法を行う蓋然性が高いということを指摘したものと評価でき、これは原告の社会的評価を低下せしめるものである。
なお、書き込みAが書かれた後、実際に原告が「悪マニさんトコのネタに」なったのは、参加人天羽による自作自演であったことを指摘する(甲第28号証)。
(3)「ダウンの人々」云々について
「ダウンの人々」の人々の意味についても、連鎖販売取引における一般のメンバーのことを指すものであることは、参加人らも認めている。
そして、書き込みAで指摘されているのは、原告作成の自費出版本(甲第25号証)を読んだ「ダウンの人々」では、違法な宣伝活動しかできないだろうという意味のことを書いたものである。これは仮に「ダウンの人々」が違法な宣伝活動をしたとして、その原因が原告にあったということを指摘するものであるから、やはり原告の社会的評価を低下させるものに他ならない。
(4)小括
以上より、書き込みAは、原告の社会的評価を低下させるものであると評価できる。そして、これを書き込んだ者は、原告の社会的評価を低下せしめることについて、故意ないし過失があったものである。
よって、この文面は原告の名誉を棄損するものであると評価できる。
2 侮辱であること
また、書き込みAは、少なくとも原告の人格を蔑視する価値判断を示すものであり、原告を侮辱するものであることが認められる。
すなわち、上記のとおり、原告のビジネスは、素朴で「悪徳商法」とは到底呼びがたいものであるのに、ここにさしたる根拠もなく、原告が行っているビジネスを「悪徳商法」であると決めつけているのが、書き込みAである。そして、上記のとおり、これは原告吉岡英介という人間が行うビジネスであるから「悪徳商法」であるという、属人的な判断に基づいて、書かれたものである。
そして、原告が原因となって、「ダウンの人々」が違法行為を行うという旨を指摘している。
これらは、真撃にビジネスを行おうとしている、原告の人格を蔑視する価値判断を示していることに他ならず、侮辱であると評価できる。そして、この書き込みをした者は、原告の人格を蔑視する価値判断を示していることについて、故意ないし過失がある。
よって、本件書き込みAは、原告を侮辱するものであるといえる。
なお、別書面で既述であるが、原告においては、「ダウン」という言葉を用いていない。これは会員間に上下関係を設定する意図がないことのほか、''ダウン症患者"を想起させうる言葉であるためである。本書では反論の便宜上「ダウンの人々」という言葉を用いた。
第2 被告の責任
1 プロバイダ責任法に基づく責任
i プロバイダ責任法に基づいて、被告が責任を負うべきことは、すでに平成19年9月4日付の原告第1準備書面で指摘したとおりである。
すなわち、他人の権利を侵害する情報がウェブペー一ジ上に存在した場合、「情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていた」ならば、プロバイダは責めを負うことになる。あるプロバイダが管理するウェブペ』ジは広範であり、ひとつひとつ他人の権利を侵害する情報があるか否かを確認するのは実際問題として困難である。そのため「知っていた」ときに責めを負うべきであるとして、バランスをとったのが同法の解釈である。
ii この点、送信防止措置を講ずることに同意するか否かを照会するという手続が存し、その照会結果を被侵害者に伝達しさえすれば、プロバイダとしては免責されるというのが、被告の主張のようである。しかし、この免責については法的根拠がなく、また、何らかの免責が得られたとしても、当事者間(書き込んだ者と被侵害者)での問題解決が不可能になった場合にまで、問答無用に免責されるものではない。すなわち、照
会結果の伝達に何らかの意味があるとしても、それは問題の先送りに過ぎず、将来的、確定的に免責されることまでみとめられるわけではない。このことは、同書面p2-5で述べたとおりである。
iii しかるに本件においては、すでに当事者間での問題解決は不可能になっているものである。
すなわち、自ら管理者であると主張する参加人両名は、いずれも、「水商売ウォッチング」の運営において、企業活動を妨害する目的はない、科学的に誤った表示をただす目的しかないと述べている(参加人冨永調書P21、23、参加人天羽調書P13-14)。
しかし、参加人両名は書き込みAの削除に応じるか否かの基準として、原告のビジネスがいわゆるマルチ商法か否かを挙げている(参加人冨永調書p8下部、甲第10号証2枚目。なお甲第10号証の別紙部分は、参加人両名が作成したものと思われる。参加人冨永調書p18)。
仮に「科学的に誤った表示をただす目的しかない」のであれば、上記のような基準に拠るべきではなく、この点において参加人両名の所為は、その証言と明白に矛盾するものである。付言すれば、「販売方法がマルチだ、高額の商品を買わされた、効果が無かったというような苦情は・・当方の守備範囲外です」といった水商売ウォッチングにサイトに記された文言にも矛盾するものである(甲第41号証2枚目)。
とすれば、参加人らが自ら掲げた基準に矛盾する態度を示すような、恣意的な運用がなされているところ、当事者間においての問題解決はもはや不可能な状態にあったものと評価できる。
iv したがって、原告第1準備書面p5で述べたとおり、原則に返ることになり、「情報の流通によって他人の権利が侵害されている」ことを被告が知っていれば、損害賠償責任を免れないことになる。
そして、書き込みAによって「他人の権利が侵害されている」ことは、上記のとおりであり、ゆえに被告の責任は認められる。
なお、平成19年11月20日に、被告は参加人らに命じて、水商売ウォッチング内の記述の削除をさせている(参加人冨永調書P11、参加人天羽調書p15-16)。よって、原告の請求は何ら被告に不可能を強いるものではないことを付言する。
2 使用者責任に基づく責任
i 被告が使用者責任に基づく責任も負い得ることは、平成19年10月26日付原告第2準備書面p2-3で主張したとおりである。以下の通り、主張を補充する。
ii 参加人冨永は被告の被用者であり教職員である。本件掲示板は、参加人冨永の名を記した研究室のサイト内に存在する(甲第2号証)。
参加人冨永は、参加人天羽に同サイトの、コンテンツ作成を任せているが、常に内容を確認しているということである(参加人冨永調書P9-10)。記載内容の最終的な責任は参加人冨永にあり、最終的な削除の有無を決するのも参加人冨永である。仮に、参加人冨永の意向に、参加人天羽が従わない場合は、サイトを閉鎖する旨述べている(同p10)。
また、参加人天羽は、参加人冨永の命に従う立場にある。このことは、平成19年11月20日に、参加人冨永が参加人天羽に対してコンテンツの削除を命じたことがあったが、参加人冨永からの納得のゆく説明なくして、参加人天羽はこれに応じたということからも分かる(参加人冨永調書p11、参加人天羽調書p15-16)。
とすれぱ、本サイトに関して、参加人天羽は、参加人冨永の言わば補助者であるということができ、よって、参加人天羽の行為は、参加人冨永の行為と評価できる。
しかるに、本件書き込みAは原告の権利を侵害する内容のものであることは既述のとおりであり、これは参加人天羽によって書き込まれたものである。上記のとおり、書き込みAに権利侵害性が認められる以上、これを書き込んだ者には、原告の権利を侵害する故意ないし過失があったことが認められる。
そして、この行為は事業の執行につきなされたものであることを考えれば(原告第2準備書面p3)、参加人冨永を雇用する被告は、原告に対して使用者責任に基づく不法行為責任を負うものである。
第3 参加人両名の請求について
参加人両名は原告に対する債務不存在確認を求める。
しかし、上記のとおり書き込みAは不法行為性が認められる以上、これを書き込んだ参加人天羽の原告に対する債務が存在することになる。
また、本件ウェブサイトの管理人であり、参加人天羽を補助者として使っていた参加人冨永もまたしかりである。参加人冨永もサイトの内容を常に確認しているということであるため(参加人冨永調書p9)、同人にも故意ないし過失が認められ、原告に対する債務が存在することになる。
第4 参加人らの証言の信用性について
1 ここで、参加人らの証拠調べにおける、証言の矛盾を指摘する。このことから、この者らの証言は信用性に欠け、本件認定の証拠とはしがたい、またたとえ自己正当化する旨の証言があったとしても、その主張は採用しがたいことを指摘する。
2 参加人天羽は、自らが書いたという「水商売ウォッチング」のトップページ(甲第41号証)について、本件訴訟が提起された平成19年6月以降、その文言に変更を加えていないと証言した(参加人天羽p14-15)。
しかし、当該トップページは平成19年10月13日以降に変更されたものであり、その証言は客観的な証拠に反する。
すなわち、参加人天羽は本件のみならず東京地裁においても、原告に対して訴訟を提起しているのであるが(甲第47号証東京地裁平成20年(ワ)第5号)、この際、「水商売ウォッチング」トップページ記載の下記点線囲みの段落の存在をもって(甲第41号証P2)、参加人天羽が「水商売ウォッチング」を運営する意図は、企業の営業を妨害し、個人的利益を図ることにないということの根拠とする旨、主張している(甲第47号証p7、甲第48号証、甲第49号証)。
まあ、「商売のために科学を騙るな」というのが基本になってます。ツッコミを入れているケースは、企業の方が先に勝手に「科学理論モドキ」「実験の名に値しない実験」(=ニセ科学)を宣伝に登場させたものばかりです。宣伝をするのは自由ですが、同時にニセ科学を広めるのはやめてもらいたい。ニセ科学を広めるのは、科学に携わっている人々の業務を妨害する行為です(同じ名前で粗悪品が出回ったら、良い製品を作っている企業は怒るし迷惑もするし、消費者も迷惑します。それと同じ事です)。科学として批判されるのがイヤなら、科学のフリをするのを一切止めればいいだけのことです。
これに対して、原告が、東京地裁事件の平成20年9月9日付準備書面p14-17において、上記点線囲みの段落は、東京地裁事件の提訴を見越して加筆された可能性を指摘した(甲第50号証P14-17)。すなわち、客観証拠によって、平成19年10月13日以降に加筆された旨が証明されたのである(甲50号証p16、甲51号証ないし甲第54号証)。これを受けて、参加人天羽も、同事件の平成20年10月10日付第1準備書面p5で、トップページヘの加筆を認めるに至っている(甲第55号証P5加筆の時期は記録が残っておらず定かではないとしている)。
よって、「水商売ウォッチング」のトップページ(甲第42号証)は平成19年10月13日以降に改変されたものであるのに、本件では参加人天羽は平成19年6月以降改変していない旨を証言したものである(参加人天羽調書p14-15)。甲第42号証は、「水商売ウォッチング」のトップペ一ジ、すなわち参加人天羽にとって大切な顔の部分であるところ、この改変時期を間違ったり、失念したりするとは、にわかに信じがたい。原告代理人が何度も念押ししたにもかかわらず(これは参加人天羽にとって訂正の機会がいくらでもあったことに他ならない)、平成19年6月以降に改変をしていないという、明白に虚偽の証言をしているものである。
3 参加人冨永においても、自らの作成文書と明白に矛盾する証言をしている。すなわち、平成19年11月20日に、参加人冨永が参加人天羽に、「水商売ウォッチング」内の書き込みを削除するよう指示を出すということがあったが、その際参加人冨永は削除対象の記載内容を確認し、内容を分かっていた旨証言する(参加人冨永調書p12)。
しかし、別事件で証拠として提出された参加人冨永の陳述書には、これとまったく異なることが書かれていた。すなわち、参加人天羽は本件及び上記東京地裁事件のほか、山形地裁においても、マグローブ株式会杜(原告が代表者を務める)を訴えている(山形地裁平成19年(ワ)第610号)。この山形地裁事件において、参加人冨永は証拠として陳述書(同事件の甲第34号証)を提出しているところ、そこには「私は…インターネットで内容を確認する事ができないまま、直ちに天羽氏に電話連絡をして、削除を指示いたしました」と記載されている(甲第45号証添付資料6)。
このように、参加人冨永は、自ら作成した陳述書とまったく矛盾する証言を、本件訴訟において行ったものである。
4 さらに本件訴訟において、原告の商品が特許出願中であるとウェブサイト上に表示されていたところ、参加人冨永がその出願番号等の釈明を求めたことがあった。その意図について参加人冨永は、特許の内容を知りたかっただけであると述べ、原告は特許出願などしていない(=原告は嘘をついている)という疑いなぞ抱いてはいなかった(原告代理人の憶測である)と証言している(参加人冨永調書p13)。
しかし、当の参加人冨永が、「マグローブについては、あたかも特許出願中の優良な商晶であるかのごとく誤信させて商品を販売している」と参加申立書に記載し(平成20年1月21日付参加申立書P9)、原告に対してあらぬ疑い、勘ぐりをしているものである。この点、参加人冨永は、やはり自らの主張と食い違う証言をしている。
5 このように、参加人らの本件証拠調べにおける証言は、明白な虚偽を含んでいるものであり、全体としてきわめて信用性が低いものである。その証拠価値は低く、また証言における弁明は汲むべきものではない。
第5 まとめ
以上のとおり、原告は、磁力が水に影響を与えるか否かについて、その是非に諸説あることをふまえて、これを是とする説を支持する顧客に、その商材を販売しているものである。言わば相対的な価値判断に基づき、ビジネスを行っているわけである。
これに対して、参加人らが原告を攻撃する根拠は、自説以外は認められないという絶対的な価値判断に基づくものである。そして、「原告が行うものであるから」という、属人的かつ偏見をもった判断により、原告のビジネスを悪徳商法呼ばわりしているものである。このことは、今般の原告のビジネスの具体的内容が未だ明らかになるより前に(原告調書P9)、書き込みAがなされたことからも認められるものである。すなわち書き込みAが書かれた平成19年2月13日のその日に、原告のビジネスの説明会が初めてなされたものであるため(原告調書p9)、書き込んだ者は当然のことながら原告のビジネスの具体的内容を知らなかった。
こうしたことから、情報発信の主体となっている被告に対して、原告はその削除を求めたのが、本件訴訟である。企業のウェブサイトに権利侵害文言が存すれば、その削除を企業に求めることについて異論はなかろうところ、原告はこれと同様に考えたまでのことである。
以上から、本件の原告の請求は認められるべきであり、また参加人らの請求は棄却されるべきものである。
以上
証拠関係
1 甲第46号 証陳述書
2 甲第47号 証訴状(東京地裁平成20年(ワ)第5号)
3 甲第48号 証証拠説明書(同抜粋)
4 甲第49号証 甲第1号証(東京地裁平成20年(ワ)第5号)
5 甲第50号 証平成20年9月9日付準備書面(同)
6甲 第51号証の1 WaybackMachineトップペ・一ジ
7 甲第51号証の2 WaybackMachineトップペー一ジ部分翻訳
8 甲第52号証の1 WaybackMachine
http://atom11phys.ocha.ac/wwatch/intro.html
の検索結果
9 同の2同部分翻訳
10 甲第53号証の1 同水商売ウォッチングの検索結果(2003年10月1日時点)
11 同の2 同水商売ウォッチングの検索結果(2005年10月4日時点)
12 同の3 同水商売ウォッチングの検索結果(2007年10月13日時点)
13 同第54号証 水商売ウォッチング(2008年9月9日時点)
14 甲第55号証 平成20年10月10日付第1準備書面(東京地裁平成20年(ワ)第5号)