準備書面4が正しいと思われるが、印刷物では3となっていた。
平成19年(ワ)第1493号損害賠償請求事件
原告 吉岡英介
被告 国立大学法人お茶の水女子大学
参加人 冨永靖徳 外1名
準備書面(3)
平成20年12月24日
神戸地方裁判所 第6部民事部合議係 御中
参加人訴訟代理人
弁護士 壇 俊光
第1 総論
1 原告の請求が失当であること
原告の請求については、プロバイダ責任制限法に基づく責任(なお、この点の主張は訴状から一貫しており、再三の指摘にもかかわらず、準備書面において明記していることから明らかなように、原告が同法に基づく何らかの請求権を主張していることは明確であり、裁判所が原告の主張を民法709条の損害賠償の請求であると善解することは許されない。)、民法715条の使用者責任によることが、原告の平成20年12月19日付け準備書面により明らかとなった。
しかし、プロバイダ責任制限法は、特定電気通信役務提供者の損害賠償の免責は規定しているが、削除義務や損害賠償責任を認める規制は存在しない。原告の請求はプロバイダ責任制限法に基づく責任を主張している時点で主張自体失当である。
また、原告は、参加人天羽が本件書き込みをしたことが、民法715条の使用者責任の根拠となると主張しているが、使用者責任は、「事業の執行について」なされたものであることが必要であるところ、本件のような公開の掲示板において、名前を明らかにせず記載した意見・論評の類を書き込みすることは、実質的にも、外観的にも「事業の執行」に該当することはない。原告は履行補助者なども理由に挙げているが、履行補助者の理論は債務不履行に関するものであり、使用者責任で履行補助者を論じること自体ナンセンスである。
したがって、この点の原告の主張も主張自体失当である。
2 本件における争点
参加人冨永の認識では、本件における争点は、参加人天羽の書き込みが不法行為を構成するかである。
つまり「あっら一いよいよここじゃなくて、悪マニさんトコのネタになるのか……(遠い目)。京都大の学歴を自慢したってやることがマルチじゃなあ……。まあ、あの自費出版批判本をみた限り、ダウンの人々が法律を遵守したまともな宣伝をすることなんざ期待できないわけだが。」という書き込みが不法行為となるかである。
このうち、違法性を主張する根拠は、「悪マニさんトコのネタになるのか……(遠い目)」において「悪マニ」という文言を使用したこと、「ダウンの人々が法律を遵守したまともな宣伝をすることなんざ期待できない」と述べたことの2点に大きく区別されると思われる。
しかし、いずれも意見・論評の域を超えるものではなく、何ら不法行為を構成することはない。
以下、マグローブの実態を明らかにしたうえで、この点を論じる。
第2 マグローブの実態
1 マグローブがダイポールの概要
(1)マグローブは、ダイポールという磁気活水器を標楴する商品の販売をおこなっていた原告らが(甲45号証)、休眠会杜を譲り受けて(原告47ぺ一ジ1行目)、独自に製造販売を始めた会杜である(甲45号証)。〔なお、この点について、原告が参加人冨永からの質問では「休眠していたわけではない」といいながら(同21ぺ一ジ23行目)裁判官からの補充尋問では休眠会杜と述べて安易に供述を変遷させていることは、原告の供述の信用性を失わせるに足る事実である。この点は裁判所も注意されたい。〕
(2)ダイポールを販売していたHRD社は、ダイポールの効能について、マイナスイオンが発生し、これにより、水垢が落ちやすくなる、お風呂の湯あかの発生を抑える、トイレの臭いが解消する、台所シンクのヌメリを押さえる、ご飯がふっくらと炊け食味が向上します、水がまろやかで美味しくなります、食器のしつこい油汚れが落ちやすくなります、栽培した果実が甘く美味しく、収穫が多くなる等の表示をしていた。(丙13号証)
(3)ダイポールは、自己の技術を特許出願しており(特許3469541)、特許公報では、磁気活性について以下の効果があると記載されている。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、磁力と電子の相乗作用により水の活性化が行われる。この活性化された水は、自体周知ではあるが、下記のような物理的、電気化学的及び生物学的効果を発現する。
【0032】物理的効果:密度が小さく、分子配列が規則正しくなり、従って美味となり、又熱伝導性が向上するので湯が早く沸く。浸透性が増加し、従って濡れ現象が顕著になるので洗浄効果が高まる。
【0033】電気化学的効果:双極性が高まるのでアニオン系界面活性作用に類する作用を呈し、従って疎水性物質とミセルを形成し易くなり、疎水性物質のエマルジョン化を可能にする。還元力があり且つエネルギーが高いので、水道管の赤錆の原因である水酸化鉄の水素を奪って黒色の堅牢な酸化鉄である三酸化二鉄(Fe203)、四酸化三鉄(Fe304)になすので腐食の進行を停止させる。尚、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムに対しても同様な効果があるので、水道管の閉塞防止効果をもたらす。
【0034】生物学的効果:生体の半透膜への浸透性が増加するので、細胞への水の吸収が活発になり新陳代謝を促す。植物の根における浸透性を良好になし(浸透圧を上げ)て生育を助成する。疎水性の食物をエマルジョン化して消化を助け、胃腸への吸収を促す。
(4)ダイポールは、これらの効能について、効能を示す合理的な根拠を提出できず、平成17年12月26日に公正取引委員会から景表法違反による排除命令がなされた。
(5)ダイポールとマグローブは、基本的には同一であり、原告らの説明によれば、原告らが出願した特許で用いられている技術(甲39号証)及び材質をステンレスにして接合を溶接でおこなっている点が改良点であると述べている(原告本人27ぺ一ジ12-22行目)。(なお、この点についても、「他に改良して違いがでてることはありますか」という問いに対して、ステンレスと溶接を上げたにもかかわらず、再度「結局、ダイポールとマグローブの違いというのは、その特許ですよね、特許とステンレスですよね」と聞かれるや「いや、そうは言ってません。特許を取ったというだけで」と安易に供述を変遷させている。このことは、原告の供述の信用性を失わせるに足る事実である。)
(6)原告が代表者を務めるマグローブ社は、マグロ}ブについて「界面活性が少し高くなっていることがわかっています。」と記載し、「枯れかけのシクラメンが一晩でよみがえるなどの効能を記載していた(丙2号証)。(なお、原告は、平成20年5月17日付け原告第4準備書面においてマグローブの具体的効能は丙2号証記載のとおりであるとしており、このことから「長年の悪臭の悩みが3日で解消」を含む種々の記載がマグローブの効能としての表示であることは明らかである。)
(7)原告は、マグローブで用いた技術について特許出願している(特許4131479)。この特許は磁石の置き方に関する特許であり、磁界に水を通過させて水を変質させようと考えている点はダイポールと同一である。
その特許公報(甲39号証)では「【背景技術】【0002】水に磁力及び電子を作用させると、水分子のクラスターが小さくなり、水がマイナス電荷を帯びて弱アルカリ化し、水の活性化を促すというものである」と記載されており、これは、原告本人が記載したことを認めている(原告本人34頁10-17行目)。
(8)原告は、本件訴訟においても、効能を裏付ける合理的な資料を提出していない。
この点については、裁判所からマグロ』ブの具体的効能の根拠を示す資料を開示するよう指示されたにもかかわらず、正当な理由もなく、合理的な資料の提出を拒んでいることから明らかである(甲45、原告本人32頁21行目-33頁15行目)。原告は、実験結果らしき証拠(甲33-37号証)を提出しているが、これらは原告本人が効能を裏付ける合理的な資料ではないことを認めている(原告本人32頁21-22行目)。
また、アンケート等も提出されているが、原告本人が「実生活での変化は体験的なものです。それだけではまともな試験結果にはなりません」(甲13号証3頁13行目)と認めているように、アンケートはなんら合理的な根拠にならない。
(9)また、原告はダイポールとマグローブの具体的な差違について、「商品の表示、名前、寸法、重さ、値段」などしか挙げていない(原告本人32頁10-16)。しかも、原告はアンケート調査について、明らかにダイポールの使用が含まれるにもかかわらず「マグローブの使用者による、その効能の体験を示す」として提出し、カタログについてもダイポールのものを流用している(原告本人44頁23行目-45頁12行目、原告平成20年5月17日付け証拠説明書)。
原告本人は、マグローブの効能について「磁気活水器というものは大体同じような効果といいますかね、そういうことが起きるんです」(原告本人32頁14行目-16行目)と述べており、マグローブの効能は磁気活水器に共通のものであると考えている。
このことから原告自身、ダイポールとマグローブを意識的に区別していないことが明らかである。
(10)以上の事情から合理的に判断すれば、マグローブとダイポールは、若干の違いはあるものの、その構造はほぽ同一であり、商品の説明やパンフレット等に記載されている効能等も酷似しており、実質的に見れば同一の商品であることは明らかである。
2 ダイポールが景表法違反の商品であること
(1)そのダイポールであるが、平成17年12月26日に公正取引委員会から景表法違反による排除命令を受けており、効能を根拠づける合理的な資料が無いこと、違法な商品表示をおこなった悪徳商法であることは明らかである。
原告は、この点について、行政ファッショや法の精神云々と弁解しているが(原告本人31頁16行目-32頁9行目)、いずれもアナーキー的思想に基づいて行政を批判しているに過ぎず、合理的資料を提出できないことを正当化できるものではない。
(2)また、その後本件訴訟においても合理的な資料が提出されていないこと、上記のように違法と判断されたダイポールとマグローブが実質的に同一というべきものであること、特に、原告本人が効能について「磁気活水器というものは大体同じような効果といいますかね、そういうことが起きるんです」(原告本人32頁14行目-16行目)と述べており、効能の表示づ他の磁気活水器でいわれている効能を、特に合理的な資料や調査も無く掲載しており、実際にダイポールの利用に関するものをマグローブの利用アンケートとして本件訴訟において提出していること等から合理的に考えれば、原告が合理的な根拠もないのに、ダイポールと同様の宣伝をしていることは、それ自体違法であり、また悪質である。
(3)なお、合理的な資料の提出について、原告本人は「この裁判で出す必要があると思っていません」(同22行目)、裁判所には提出しても評価する機能がない(甲45号証)などと不合理な弁解をし、さらに、合理的資料があるのか、また、どこにあるのかを尋ねられると、今度は供述を一転させて「提出してます・既にね。」と不合理な弁解を積み重ねている。
このような供述の変遷、供述内容自体の不合理性、客観的な実験結果によりマグローブの効能が認められないことを明らかにした参加人冨永の報告書の存在等に鑑みれば、原告本人は合理的な資料が無いにもかかわらず、言を左右にして、あたかもそのような資料があるかのように繕っているだけであることは明らかである。
3 原告のマグローブの効能に関する供述が矛盾・変遷していること
(1)ダイポールの商品の効能の説明や、甲39号証に「【背景技術】【0002】水に磁力及び電子を作用させると、水分子のクラスターが小さくなり、水がマイナス電荷を帯びて弱アルカリ化し、水の活性化を促すというものである」と記載されていることからも明らかなように、マグローブの効能の根拠は、磁界に水を通過させれば、水のクラスターが小さくなり、水のアルカリイオン化、マイナスイオン化、界面活性の向上等がおこり、これにより種々の効能が生み出されていると考えていることは明らかである。
しかしながら、水のクラスターは短時間で生成消滅を繰り返すので(丁2号証)、本件のような一定の時間で効能を問題にする際にクラスターを持ち出すことはそれ自体がナンセンスであり、このことだけでも、マグローブがありもしない効能をうたっていることは明らかである。
また、丙2号証にはクラスターが小さくなることが有力な仮説であると記載しているが、実際には物理化学の分野では仮設としても存在しない(参加人冨永6頁16-19行目)。
(2)しかし、当公判廷では、アルカリイオンやマイナスイオンや表面張力は、クラスターと関係あるかについて、わからないと述べ、クラスターとアルカリイオンやマイナスイオンの関係についてもあるかのように述べたことは無いと述べ、さらに水に磁気を当てると、水分子のクラスターが小さくなり、水がマイナス電荷を帯びる、弱アルカリ化するということは言っていないと供述し(原告本人34頁2-9)、甲39号証の記載を真っ向から否定する供述をおこなうに至っている。甲45号証でも、クラスターが小さくなるとは言っていないとしているが、そのような供述自体が甲39号証と決定的に矛盾するものである。
しかも、原告本人は、参加人天羽とのメールでは磁気活水器は、「マイナスイオンが多くカウントされる。ぺ一ハー値が少し上がっている。熱伝導率が少し上がっている。界面活性が少し上がっている。という変化が起きています」と説明していた(甲12、原告本人39頁1行目)。しかし、原告の供述では、クラスターが小さくなるかどうかについては、「そういう説があります」と述べて従前の立場と矛盾する供述をおこない、さらに、クラスターが小さくなるかについて確認をしたかについては「それはわかりません」と述べて確認していないことを認め、水が弱アルカリ性になることについては、「実験で揺らぐんで何とも言えないところで、弱アルカリ、少しアルカリ側にいくような検出もときどきあるんですね。」と再現性があるような形では確認していないことを認め、界面活性の向上については油が混ざりやすくなるという点であったことであるとして、記載自体が間違いであることを認めるに至っており(原告本人28頁2-19行目)、マグローブの効能を裏付ける根拠を自ら否定するに至っている。(なお、界面活性の増加について、一般人が文言から油が良く溶けるという趣旨には読めないことを指摘されると「でも、どういう風に読めるか、どうにも読めないんじゃないですか。」と支離滅裂な回答をしているが、このような表示に対する無責任な態度が、まさに、マグロープの宣伝方法である。)
(3)また、マイナスイオン化であるが、マイナスイオン自体が、主に電機メーカーなどが商品の付加価値をつけるために用いた和製英語であり、統一的な定義もない。
また、マイナスイオンの効能の多くは未実証である。原告本人も「枯れかけのシクラメンが一晩で…」等という効能の記載が、マイナスイオン化によって起こるものではないことを認めている。
東京都の調査では、マイナスイオンを標榜する商品を調査し、表示された効果・性能に関して、「提出資料には当該商品が発生するマイナスイオンが関与していることを具体的に示す試験結果等はなかった。」としている。
このように、マイナスイオンを標榜する商品は問題が多く、このような現状で効果・効能を宣伝すること自体が悪質であり、場合によっては薬事法や景表法違反にもなる。実際に、2003年にマイナスイオンによる効果を標榜していたセルミ医療器株式会社が薬事法違反で業務停止処分となっている。
実際にマグローブにおいても、マイナスイオンがどのような仕組みで発生するのか、また、原告の指摘する「臭いが消えることと関連しているようです」(丙2号証)という効能やその他の効能にマイナスイオンが関与していることを具体的に示す試験結果が皆無であり、マイナスイオンを理由にする効能を標榜していることと全く矛盾していると言わざるを得ない。
(4)以上のことに加え、原告本人が効能について「磁気活水器というものは大体同じような効果といいますかね、そういうことが起きるんです」(原告本人32頁14行目-16行目)と述べていることから、マグローブの効能というものが他の磁気活水器でいわれている効能を、特に合理的な資料や調査も無く流用していることは明らかである。
ここにおいて、マグローブの効能に関する説明は、その根底から崩壊していると言わざるを得ず、結局のところ、マグローブのいう効能は根拠のないものであることは明白である。
4 マグローブの根幹部分が科学的に否定されたこと
(1)実際に参加人冨永がおこなった実験では、マグローブを通過させた水はクラスターの変化が無いことが明らかとなった(丁1号証)。
マグローブの効能は、水のクラスターの変化によるものであることは甲39号証からも明らかであるが、マグローブの効能が無いことは、この実験によって、科学的に明らかにされたのである。
原告は、この実験結果に対して疑念を抱く主張をしているが、いずれも感情的な非難に過ぎず、実験の合理性を否定できるようなものではない。
(2)また、参加人冨永がおこなった実験では、マグローブを通過させた水について、表面張力に変化が無いことが明らかとなった(丁1号証)。表面張力に変化なくして、油の溶けやすさは変わらない。つまり、油が溶けやすいという事実が存在しないことが明らかになったのである。
これに対して、原告の説明する界面活性というのが何を指すのかが必ずしも明らかではないが、原告本人供述を参考に油の溶けやすさを意味していると善解しても、油の溶けやすさが変化するということ自体が今回の実験により間違いであることが確認されたのである。
これに対して、原告は甲45号証で、実験結果を論難しているが、表面張力に変化のなくても、油が溶けやすくなるということを前提にしており、それ自体失当である。
5 マグローブの販売が、悪徳商法に該当すること
以上のように、1)マグローブがダイポールと実質的に同一であること、2)ダイポールの表示が景表法違反とされたこと、3)マグローブの種々の効能について、効能の説明自体が矛盾・変遷していること、4)効能の根拠となる根幹部分が科学的に否定されたこと等の事情から合理的に考えれば、マグローブ杜は、HRDの内紛や公正取引委員会からの排除命令をうけて、自ら同様の商売をしようと企て、客観的に効能がないにもかかわらず、あたかも様々な効能が認められるかのような表示をおこなって、マグローブを高価で販売することを繰り返していたことが明らかである。
これこそ、消費者の知識不足と健康不安につけ込んだ悪徳商法である。
以下のこの点を踏まえて本件争点を検討する。
第3 本件書き込みが原告の社会的評価を下落させないこと
1 「悪マニさんトコのネタになるのか……(遠い目)」という部分について
(1)「悪徳商法?マニアックス」というホームページは、吉本敏洋氏が解説したホームページであり、「悪マニ」(以下便宜上「悪マニ」と呼ぶ)とも呼ばれている。
同ホームページは、「はじめに」というぺ一ジで、「悪徳商法でないグレーゾーンのビジネスであっても積極的に取り上げていきたいとおもいます。」として、実際に、詐欺商法の他、マルチ商法などの消費者問題となる商売を広く取り上げている。これは、『私達を取り巻く社会について常に関心を持ち、何事に対しても「この方法が一番良いのかな?」「本当に正しいのかな?」という疑問意識を持って考えることこそが消費者の責任だと言う考え方です。』とあるように、消費者問題を広く問題提起する趣旨からである。
実際に、原告本人もマルチ商法等が広く取り上げられていることを確認している(原告本人26頁16-21行目)。
(2)本件書き込みは、原告が悪徳商法をおこなっていると書いたわけではなく、悪マニに載るという趣旨で書かれたことについては原告も認めるところである(原告本人26頁1-3行目)。
上記のように、悪マニは、悪徳商法のみならず、マルチ商法などの消費者問題となるべき商法を広く取り上げるべきものであり、悪マニに取り上げられるからといって、詐欺商法等となるわけではない。
マグローブの販売がマルチ商法を用いていることは明らかであり、これだけでも悪マニが取り上げられるには十分である。
しかも、マグローブが上記のように効能が無い商品をあたかも多様な効能があるかのように偽って販売している時点で、悪徳商法はおろか詐欺商法とも言うべき存在であることは明らかであり、この点からもマグローブが悪マニに取り上げられることは明らかである。
(3)「悪徳商法?マニアックス」の名前は、吉本氏が命名したものであり、参加人天羽が決定したわけではない。悪マニは「悪マニ」や「悪徳商法?マニアックス」と呼ぶ他ないことは原告も認めるところである(原告本人26頁4-7行目)。
つまり、悪マニに掲載されるであろうという予想を述べる場合に、「悪マニさんトコのネタになるのか…」というのは、単なる予想を述べる場合に当然につかわれる言葉である。通常使われる予想を述べることで社会的評価が下落するということはない。
(4)もし、本件のような、単なる予想・感想の発言を違法であるとするのであれば、本人に不都合な結論を予想するあらゆる評論が違法視されることになりかねない。もちろん、このようなことがまかり通れば、表現の自由に対する著しい侵害であり、当然許されない。
2 「ダウンの人々が法律を遵守したまともな宣伝をすることなんざ期待できないわけだが。」という部分について
(1)この部分は、ダウンの人々に対する発言であるところ、ダウンの人々が、具体的に誰であるかについて、原告は「ダウンとは思っていない。」「情報が伝わっていった順番があって、相対的なものなんですよ。」と言を左右にしてごまかしているだけであり(原告本人22頁2行目-23頁2行目)、原告自身、対象が明らかにできていない。
そして、不特定人に対する名誉毀損は成立しない。
したがって、本件では、名誉毀損となる具体的な対象を欠くものであり、名誉毀損自体が成立し得ないのである。
(2)また、原告自身は、マグローブの製造販売をしていない。あくまでもマグローブ社がおこなっていることである。また、ダウンの人々が誰を指すのかは明らかではないが、原告がダウンの人を雇用しているわけでも、支配しているわけでもない。原告本人が「私はダウンの人々を使ってないんですよ。そこのところをちょっとはっきりしておきます。契約して、お互い独立でやっていただいているわけですから。」と言を強くして述べているように(原告本人25頁12-14行目)、原告とダウンの人々とは契約関係に立つのみであり、全くの他人である。
このような場合に、ダウンの人々の宣伝文言を指摘したからといって、原告の社会的評価を下落させることにはならない。
(3)原告の当該書き込みは、ダウンの人々の宣伝に対して法律遵守が期待できないという一般的な予想を述べたのみであり、ことさらに不利益な事実を摘示した訳ではない。
このように単なる意見論評について名誉毀損が成立することは、自由な表現活動を著しく阻害するものであり、慎重になる必要がある。
したがって、単なる意見論評の類で、表現方法も相当性を欠くようなものではない場合、一般人の見地から考えて、杜会的評価の下落が無く名誉毀損は成立しないと解するべきである。
本件は、ダイポールが景表法違反の違法な宣伝をおこなっていたこと、原告とのメールのやりとりから、原告がダイポールの販売をおこなっていることを知っており、今回もダイポールと同様の商品及び宣伝によって商品の販売することが予想されていたこと、原告がマルチ商法をおこなうことが予想され、その契約者がダイポールと同様の違法な宣伝をおこなうことが予想されていたことを踏まえての論評であることを踏まえれば、単に相当な意見を述べたに過ぎず、表現方法としても相当性を欠くものではない。
3 小活
以上のように、本件の書き込みは、いずれも杜会的評価を下落させるものではなく、不法行為は成立しない。
第4 本件書き込みについては、違法性が阻却されること
1 総論
仮に百歩譲って、今回の書き込みにより、社会的評価になんらかの下落があるとしても、公共の利害に関する、公益目的の、真実又は真実であると誤信することが相当な発言であり、違法性が否定されるものである。
2 真実性について
(1)「悪マニさんトコのネタになるのか……(遠い目)」の部分について
悪マニという記載から、一般人が原告のおこなっている商売が悪徳商法であると考えるとしても、すでにのべたように、マグローブの販売はまさに悪徳商法である。
(2)「ダウンの人々が法律を遵守したまともな宣伝をすることなんざ期待できないわけだが。」という部分について
マグローブを販売しているユニエルベという業者は、マグローブについてダイエットに効果があると表示して宣伝していた。これについては、原告も薬事法の関係で言ってはいけないと認めるとおりである(原告本人29頁4行目)。
また、マグローブ杜のカタログには、上記のように界面活性が高くなるかどうかを再現性のある実験で確認したわけではないにもかかわらず、「界面活性の増加」が認められるかのような表記をしているばかりでなく、さらに「水の浸透性が良くなることと関係しているようです」と特定の効能を窺わせる記載をしている。これは明らかに不実記載である。
そもそも、すでにのべたように、マグローブは甲39号証のように、水のクラスターを磁気により変化させることにより、様々な効能を導こうとするものであることは明らかであるが、クラスターが小さくなるということ自体が間違いであり、マグローブに様々な効能があるという立論は崩壊しているのである。つまり、丙2号証の様々な効能は、効能が認められないにもかかわらず、あたかも効能で認められるかのような虚偽の表記をしているにすぎない。
当然、マグローブの販売者はカタログを用いて宣伝をするところ、これらの虚偽の事実による宣伝がおこなわれていることは明らかである。したがって、ダウンの人々が法律を遵守したまともな宣伝をすることが期待できないのは真実である。
3 真実と誤信することが相当であること
(1)仮に、何らかの事情で上記事実が真実と認められないとしても、少なくとも、参加人天羽の水の分野に関する研究者であり、相当の知識を持ってマグローブの効能に関して判断し、その結果としての論評をおこなったものである。
(2)参加人天羽の研究者としての知識に加え、従前のダイポールの宣伝活動や、それに対する公正取引委員会からの排除命令や、インターネット上でのダイポールに対する苦情(参加人天羽11頁24-12頁3行目)、平成15年ころからの原告とのメールでのやりとり(参加人天羽19頁19-21行目、甲12号証)、特に参加人天羽が原告にデータと実験条件を明らかにするように再三求めたにもかかわらず何らの対応もされないこと等を総合的に判断すれば、マグローブの販売が悪徳商法であり、また、違法として排除命令が出た表示と同じような表示を使って商売をするんじゃないかと予想することは極めて当然である(参加人天羽20頁1行目-21頁26行目)
(3)つまり、百歩譲って、本件において、発言の重要部分について真実とまでは認められないとしても、参加人天羽が当該部分を真実と誤信したことについては、相当な理由があることが明らかである。
4 公共性・公益目的性
(1)消費者保護の見地から、悪徳商法に関する事実を明らかにすることは、公共の利害に関することであり、また、公益目的に基づくものである。
確かに、参加人天羽の発言にはr…(遠い目)」「なんざ」など、若干、公的な発言では見られない表現はあるが、これは、インターネット上の掲示板での発言であることから、インターネットで良く用いられている表現や少しくだけた口調を用いたにすぎない。
(2)そもそも、公益目的の要件は単なる中傷目的の表現を除外するための要件であり、一般には公共の利害に関する事項であるかぎり、公益目的が推定される。
つまり、極端な場合以外に公益目的が否定されるわけではない。まして、本件のような、単なる意見論評が公益目的でないと否定されることは、自由な論評をほぽ全面的に禁止することであり、表現の自由の過度の制約として許されない。
第5 参加人冨永が本件掲示板の管理者であること
1 本件掲示板は、被告に設置されたサーバを用いている。
被告では、責任者は本学専任の教員等に限定されており(乙1号証、乙4号証)、参加人冨永が管理者であることは明らかである。
2 実際に、参加人冨永は、ホームページの内容について最終の判断権限を有しており(参加人冨永2頁20-24行目)、これは参加人天羽の供述とも概ね合致する(参加人天羽5頁15-24行目)。
3 したがって、参加人冨永は、本件掲示板の管理者として、原告に対して削除義務の不存在を求める法的利益があり、上記のように、原告からの削除義務の請求は認められないので、参加人冨永の請求を速やかに認容されたい。
以上
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